アバゴ・テクノロジーは「TECHNO-FRONTIER 2013」(テクノフロンティア2013、2013年7月17〜19日)で、オプトカプラ、光ファイバーとも異なる新タイプの光絶縁デバイスの提案を実施した。産業機器のインバータなどの用途へ提案する。
アバゴ・テクノロジーは「TECHNO-FRONTIER 2013」(テクノフロンティア2013、2013年7月17〜19日)で、オプトカプラでもなく、光ファイバーでもない新タイプの光絶縁デバイス「ショート・リンク・アイソレーション」の提案を実施した。
産業機器などでは、インバータを駆動する高電圧回路とインバータなどをコントロールする低電圧回路部などを、電気的絶縁を取りながら信号伝送する必要がある。そこで、電気信号を光信号に変換し、再度、光から電気信号に戻す光絶縁が多用される。光絶縁を行う手法としては、絶縁距離に応じ2つの方法があった。
絶縁距離が短い場合には、1つのパッケージ内に発光素子と受光素子が収められ、デバイス内で光絶縁を行うオプトカプラが使用される。オプトカプラの場合、絶縁伝送距離は、「最大でも20mm程度」(アバゴ・テクノロジー)となる。
20mm以上の絶縁伝送距離が必要な場合には、発光素子と受光素子を別個のデバイスとし、その間を光ファイバーケーブルで結ぶ方法が採られた。「オプトカプラでは、ほんの少し足りない20〜25mm程度の距離で絶縁したいというニーズは産業機器分野などで多くあったが、高価な光ファイバーケーブルを使用せざるを得なかった」(アバゴ)。ブース説明員によると、光ファイバーケーブルは、20〜30mm程度でも1000円程度するという。
カプラ製品、光ファイバー製品という光絶縁製品を総合的に扱うアバゴはこのほど、光ファイバーケーブルを使わずに、25mmの絶縁伝送距離を実現する新しいコンセプトの光絶縁デバイスとしてショート・リンク・アイソレーション(型番HFBR-3810Z/同MSZ)を発売した。
ショート・リンク・アイソレーションは、発光素子と受光素子を、樹脂製の「管」で接続するもの。樹脂製の管の中は、空洞であり、「光ファイバーに比べ、大幅にコストは安い」(説明員)。発光/受光部は、基本的に光ファイバーケーブルによる製品と同じ構造で、市場で実績ある技術を使用しているため「信頼性なども問題ない」という。さらに「同一基板で絶縁が行えるため、オプトカプラと同じように容易に実装できる点も特徴だ」とする。
アバゴは今後、25mmよりも長い絶縁伝送距離のショート・リンク・アイソレーションの開発を進めるなどし、ラインアップを拡充していく方針。
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