ARMは、必要な演算性能によってプロセッサコアを選択して、最適な電力効率で動作させる省電力技術「big.LITTLE」処理を提供している。この省電力技術がETアワード「先端テクノロジー賞」を受賞した。高いピーク性能と低消費電力を両立できる技術として高い評価を得た。
ARMは、必要な演算性能によってプロセッサコアを選択して、最適な電力効率で動作させる省電力技術「big.LITTLE」処理を提供している。「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展(ET2013)」(2013年11月20〜22日、パシフィコ横浜)で、この省電力技術がETアワード「先端テクノロジー賞」を受賞した。高いピーク性能と低消費電力を両立できる技術として高い評価を得た。
ET2013のARMブースでは、「ARM Connected Community」のパートナー15社とともに、最新のARMコア技術と、そのコアを搭載したマイクロコントローラ、およびハードウェア/ソフトウェア開発環境などが紹介された。
中でも来場者の注目を集めていた展示の1つが、big.LITTLE処理である。「前回(2012年)のETでは、開発コンセプトとしてそのアイデアを紹介した。2013年に入っていくつかの半導体ベンダーから、車載用やスマートフォン向けに、big.LITTLE処理の技術を利用したSoCが実用化されている」(説明員)という。
big.LITTLE処理とは、高い性能を持つCPUコアと電力消費が小さいCPUコアを組み合わせてワンチップとし、演算処理の負荷に応じてCPUコアを効率よく使い分ける技術である。例えば、「Cortex-A57コアとA53コア」あるいは「Cortex-A15コアとA7コア」などの組み合わせが可能である。大きな特長として、内蔵された2つのCPUコアが協調してシームレスにタスクを実行する際に、キャッシュの一貫性をハードウェア的に保つ「キャッシュコヒーレントインタコネクト」の機能をサポートしている点などが挙げられる。展示ブースでは、主要なCPUコアの性能比較などをディスプレイに表示して紹介していた。
big.LITTLE処理が登場してきた背景として、「プロセッサは性能と電力消費の相関関係を視野に入れながら、技術の進化を遂げてきた。しかし、現状のプロセス技術や設計トレンドを見ると、その進歩は壁にぶつかっているようだ。性能を追求するあまり、消費電力に目をつぶってきたところもある。そうするとピーク性能は満足できるが、携帯機器などでの待ち受け時には余分な電力を消費してしまうことになる」(説明員)と話す。
これまでは演算処理の負荷変動に対して、動作電圧や動作周波数を制御して対処してきた。これにbig.LITTLE処理の技術を加えることで、対応できる性能と消費電力の幅をさらに広げることが可能となる。
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