これまでの経緯から考えると、スマートテレビは、テクノロジー業界のあらゆる主要企業にとって、“動きの定まらない標的”だと言えるのではないだろうか。MicrosoftやIntel、Apple、Googleの他、ソニーやパナソニック、シャープ、Samsung Electronics、LGなど、さまざまな企業が実現に向けて取り組んできた。それでも、業界ではいまだに圧倒的な勝者が現れていない。
こうした不確実な状況を作り上げた要因となっているのが、消費者によるテレビの視聴習慣だ。これまで、スマートフォンやタブレット端末は、第3の画面だとみなされてきたが、現在では多くの消費者にとって、テレビとして機能する「第1の画面」になっている。
スマートテレビ市場は、いまだ明確な勝者が出現していない新興市場である。こうした中でwebOSは、変化を促す“触媒”になり得るだろうか。もちろん、webOSが市場に参入する余地は大いにある。しかし、過去20年にわたりほとんど盛り上がりを見せていないインターネットテレビ市場を活性化する鍵になるのだろうか。
ただし、はっきりと分かっていることが1つある。LGがwebOSを熱烈に支持しているということだ。同社は、webOSをスマートテレビ以外の機器に採用することは一切発表していないが、さまざまな種類の端末や家電機器を接続できるWebベース技術の潜在能力を確信している。
LGのバイスプレジデントを務めるSamuel Chang氏は2014年1月6日、EE Timesのインタビューに応じ、「当社はかねてから、webOSに大きな関心を寄せていた。このため、webOSが2012年半ばにオープンソースになったと同時に、開発に着手した。そして2013年に、HPから正式にwebOSを取得するに至った」と述べている。
LGは、webOSをスマートテレビ以外でも採用するのだろうか。これについてLGは明確な返答をしなかったが、LGがwebOSによって“テレビ”の枠を超える新しい価値を生み出す機会を得たのは間違いない。その点にこそ、LGがwebOSの資産を獲得した本当の意味があるのだろう。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.