スマートサーモスタットなどの製品で知られるNest Labsを、Googleが32億米ドルで買収する。これは、Googleがスマートホーム市場に本気で参入するという意思の表れだろう。
人工知能を搭載したサーモスタット(自動温度調節器)や煙探知機で知られるNest Labs。創設者は、かつてAppleで「iPod」の開発を手掛けていたTony Fadell氏だ。Nest Labsの製品は、2012年に開催された「2012 International CES」で話題をさらった。
それから2年後となる2014年1月13日(現地時間)、GoogleがNest Labsを32億ドルで買収することを発表した。
Googleの動きは、検索エンジンの大手である同社が、スマートホーム市場に本気で参入するという意思の表れだろう。もっと言うならば、スマートホームだけでなく、モノのインターネット(IoT)市場も視野に入れているはずだ。
Googleの発表によれば、買収後、Nest Labsは独立した子会社になるという。CEOは引き続きFadell氏が務める。
スマートフォンやタブレット端末で、家電を遠隔操作するというアイデアは、民生機器メーカーはもちろん、消費者にとっても、いまや目新しいものではなくなっている。Nest Labsの製品は、設定がシンプル、ユーザーの行動パターンを機器自身で学習する、ソフトウェアのアップデートがスムーズ、といった特徴がある。
ここ数年、家電メーカーにとって、接続性やスマートな機能を持ち、使いやすい家電をいかに開発するかは、重要な課題となっている。
2014 CESでは、LG Electronicsが次世代の家電として「HomeChat」を披露した。無料通話/メールアプリであるLINEを使って“家電とチャット”をするサービスだ。
例えば、旅行に行くとLINEで伝えたとしよう。すると、家電から「省電力モードに切り替えますか?」と返事がくる。「はい」と答えれば、自動的に省電力モードに切り替わる。その他にも、毎朝9時に掃除ロボットを動かしたり、帰宅時間に合わせて洗濯機を回したり、といったことが可能になるという。
家電がインターネットにつながることがより一般的になってきたら、次のステップではクラウドがキーワードになってくるだろう。家電からのデータはクラウドに蓄積していく。そうしたデータをいかに解析し、家電にフィードバックするかが重要だ。
Fadell氏は事業をスタートした時から、「われわれの目標は、“意識を持つ家”を作り上げることだ。考える家、直感を持つ家、そして外観もよい家――。われわれの設計チームは、こうした家を実現できるような製品を提供できる自信がある」と述べている。
なお、Googleによると、取引は今後数カ月以内に完了する見込みだという。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.