ARMのエンジニアらが余暇を利用して開発したレゴロボットが、ルービックキューブを3.253秒で解き、世界最速記録を達成した。頭脳部分には、8コアプロセッサを搭載したSamsung Electronicsのスマートフォン「GALAXY S4」が使われている。
レゴで作られた新型ロボット「CUBESTORMER 3」が、ルービックキューブをわずか3.253秒で解き、世界記録を達成した。CUBESTORMER 3は、8コアプロセッサを搭載するSamsung Electronicsのスマートフォン「GALAXY S4」を頭脳部分として使用している。
GALAXY S4の8コアプロセッサ「Exynos Octa」は、ARMのbig.LITTLE処理を採用し、Cortex-A15コアとCortex-A7コアを4個ずつ搭載する(関連記事:Samsungの「GALAXY S4」を分解、本丸はCortex-A7/A15の8コアプロセッサ)。GALAXY S4はルービックキューブのそろえ方を正確に分析、計算し、ロボットの4本の腕に命令を出して実行させる。ロボットのモータを制御する部分には、レゴの「レゴマインドストームEV3」が使われている。
「CUBESTORMER 3」は、ARMのプリンシパルエンジニアであるDavid Gilday氏と、Securi-Plexでセキュリティシステムエンジニアを務めるMike Dobson氏が、余暇を利用しながら18カ月かけて共同開発したロボットだ。今回の新記録は、2014年3月15日に英国バーミンガムで行われたイベント「Big Bang Fair」で樹立された。これまでの最速記録は、両氏が2年前に達成した5.27秒だったが、これを打ち破る結果となった。
Gilday氏は、「CUBESTORMER 3は、新記録を達成できると確信していた。しかし、人間の目に見えないほどの速さでロボットを物理的に操作しようとすると、必ずリスクが生じる。このため、ロボットのモーターやインテリジェンス機能が正確かつ確実に同期化するよう、何時間も費やして完璧に仕上げた。こうした努力が報われた。今後も大きな課題として、さらなる新記録の達成を目指して挑戦していきたい」と述べている。
Gilday氏は今回、ルービックキューブの最速記録を達成したCUBESTORMER 3の他にも、ARMベースのロボットを2つ開発していて、それぞれが世界記録を達成している。1つは「MultiCuber 3」で、Huaweiのプロセッサ「Hisilicon K3V2E」を搭載したスマートフォン「Ascend P6」を頭脳部に使ったもの。MultiCuber 3は、4x4x4キューブを1分18.68秒という最速記録で解いた。
もう1つの「MultiCuber 999」は、頭脳部にSamsungの自社製クアッドコアプロセッサ「Exynos Quad」を搭載した「GALAXY S3」を使っている。これまでにロボットが解いたキューブの中では最大となる9x9x9キューブで、34分25.89秒の最速記録を達成した。この9x9x9キューブを解くための手順数は278桁にも上るという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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