ルネサス エレクトロニクスは、マイコンの自己診断ソフトウェアについて、産業機器の機能安全規格「IEC61508」の認証を取得するとともに、同ソフトウェアとセーフティマニュアルなどを1つのパッケージにした「RX631/RX63Nセーフティパッケージ」の販売を始めた。
ルネサス エレクトロニクスは2014年8月、マイコンの自己診断ソフトウェアについて、産業機器の機能安全規格「IEC61508」の認証を取得するとともに、同ソフトウェアとセーフティマニュアルなどを1つのパッケージにした「RX631/RX63Nセーフティパッケージ」の販売を始めた。
産業機器の開発に当たっては、「機能安全」への対応が不可欠となっている。このためにシステム開発者は、従来の設計作業に加えて、ハードウェアの故障分析と故障診断手法、その診断率検討などのセーフティ分析といった作業が必要となる。
こうした開発者の労力負荷を軽減するために用意されたのがRX631/RX63Nセーフティパッケージである。32ビットマイコン「RX631/RX63Nグループ」搭載のシステム開発を行う場合、これまで開発者が行っていたセーフティ分析や故障診断手法、診断率検討の作業のうち、マイコンに関する作業をルネサス側で事前に実施。マイコン内部の機能ブロックごとにセーフティ分析した結果をまとめた「セーフティマニュアル」と、CPUやRAM、フラッシュROMの「自己診断ソフトウェアライブラリ」という形で提供される。
これによって、「マイコンの故障診断に関する開発期間をこれまでより1/3程度に短縮することができる」(同社)という。また、自己診断ソフトウェアは、テュフラインランドインダストリーサービスより、「IEC61508 SIL3」規格の認証を取得済みのため、ソフトウェア導入時にユーザー側でソフトウェア開発プロセスの適合性を確認する作業も必要ない。
ルネサスは、「RX631/RX63Nセーフティソリューション評価キット」も用意し、2014年11月より発売する予定だ。同評価キットには、マイコンの自己診断ソフトウェアライブラリと、RX63Nマイコン搭載評価ボード、IEC61508認証取得済み開発環境「IAREmbedded Workbench for RX機能安全バージョン」が含まれている。この評価キットを使えば、診断ソフトウェアの性能評価やシステムの初期検討を容易に行うことができる。
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