インテルが、ウェアラブル機器やモノのインターネット(IoT)分野を本格的に強化している。2013年11月にIoT専門の事業部を設立。2014年3月には、腕時計型ウェアラブル機器を手掛ける米企業を買収した。
Intelは2014年3月25日(米国時間)、米国カリフォルニア州サンフランシスコを拠点として腕時計型ウェアラブル機器の開発を手掛ける新興企業BASIS Scienceを買収すると発表した。買収金額は明らかにされていないが、IT関連のニュースサイトである米国TechCrunchが報じたところによると、1億〜1億5000万米ドルではないかとみられている。
BASIS Scienceが開発した腕時計型のウェアラブル端末「Basis band」は、睡眠サイクルや活動量などを測定する個人用のダッシュボードに、オンラインでアクセスすることができる。睡眠トラッキング機能を備えていて、4種類のセンサーでレム/ノンレム睡眠、光、寝返りなど姿勢の変化を検知したり分析したりすることができる。3軸加速度センサーで姿勢を測定する他、発汗モニターや皮膚温度センサー、心拍数モニターを利用することで睡眠パターンの測定精度を高めている。
Intelのバイスプレジデントで、新規デバイス部門のゼネラルマネジャーを務めるMike Bell氏は、「現在、汎用向けの腕時計型ウェアラブル機器の開発が相次いでいる。こうした中で、今後勢いを増していくのは、健康管理機器のように機能を絞り込んだ端末だ。BASIS Scienceは既に素晴らしい製品を市場に投入している。このような製品を開発するには、深い知識を持ったベテラン技術者の存在が不可欠だ。こうした技術者がそろっているBASIS Scienceは、当社にとって非常に魅力的である」と述べている。
Intelは、今回の買収により、ウェアラブル機器市場への注力を強化し、対応能力を高めていきたい考えだ。Intelは、ウェアラブル端末とモノのインターネット(IoT)が今後の市場をけん引していくとして、その重要性を繰り返し強調している。同社としては、次世代のウェアラブル機器において、22mmプロセスのプロセッサ「Quark」をベースとしたSDカードサイズのコンピュータ「Edison」が採用されることを期待しているという。
Bell氏は、「ウェアラブル機器の開発を手掛けるメーカー各社と協業できるよう、当社の持つ技術を提供していきたい。BASIS Scienceの技術は今後、あらゆる種類のウェアラブル機器において業界標準となるだろう。Intelは、同市場において重要な地位を獲得することができるだろう」と続けた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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