アジレント・テクノロジーは、測定に必要な計測器や関連ソフトウェア、テストライブラリ、アプリケーションソースコードなどをまとめてパッケージで提供する「リファレンスソリューション」を発表した。このパッケージ製品を活用すると、測定器ユーザーは基本的な検査プログラムを一から開発する必要がなく、テストに関連する開発効率を大幅に改善できるという。第1弾としてワイヤレス通信用途の「パワーアンプ製造試験」向けパッケージ製品の出荷を始めた。
アジレント・テクノロジーは2014年4月22日、測定に必要な計測器に加えて、関連するソフトウェア、テストライブラリ、アプリケーションソースコードなどをまとめてパッケージで提供する「リファレンスソリューション」を発表した。このパッケージ製品を活用すると、測定器ユーザーは基本的な検査プログラムを一から開発する必要がなくなり、テストに関連する開発効率を大幅に改善できるという。第1弾としてワイヤレス通信用途の「パワーアンプ製造試験」向けパッケージ製品の出荷を即日始めた。
パワーアンプ製造試験向けパッケージ製品は、ベクトル信号発生器「M9381A」やベクトルシグナルアナライザ「M9391A」、組み込みコントローラ「M9036A」などのモジュール型計測器に加えて、卓上型の任意信号発生器や電源といった計測器群も組み合わせて使う。また、テスト時間の短縮や高速な変調解析などを可能とする測定用のソースコード、評価用ユーザーインタフェースソフトウェア、計測器を制御するためのテストライブラリなども含まれている。
今回のパッケージ製品は、スマートフォンなどで用いられている、電力効率改善に向けたエンベロープトラッキング方式(ET)を採用したパワーアンプの試験にも対応しており、エンベローブ信号のタイミングを1ns未満に調整することができるという。
パワーアンプ製造試験向けのパッケージ製品は、周波数が最大6GHz、帯域幅が最大160MHzに対応したハードウェアとソフトウェアの構成となっている。測定に必要な性能や機能が変更となった場合には、ライセンスキーによってアップグレードすることが可能である。パッケージ製品の価格については個別見積もりとなる。
アジレント・テクノロジーは、卓上型の測定器で蓄積してきた測定ノウハウなどを生かして、2010年9月よりPXIやAXIeに対応するモジュール型計測器の分野にも本格進出した。卓上型とモジュール型の測定器は、共通のソフトウェアアプリケーションを用いていることから測定結果には相関性がある。このため、設置スペースに制限がある製造ラインなどにおいて、省スペースのモジュール型を使って測定しても、卓上型で測定したデータとの相関を容易に確認することができる。
アジレント・テクノロジーが、モジュール型計測器の新たな戦略として取り組むことになった用途別パッケージビジネスは、開発ステージのさまざまなテスト工程において、必要なハードウェアとソフトウェアをパッケージの形で提供していくことにより、設計/開発から試作/量産まで、同一の測定環境を実現することができるようになる。これによって、テスト時に必要となるハードウェアのセッティングやソフトウェア開発の期間短縮が可能である。その上、測定結果の評価なども容易に行えるのが大きな特長だ。測定器のユーザーは、個別案件に対応するための計測器追加やテスト治具などを開発するだけで済むことになる。
アジレント・テクノロジーは、リファレンスソリューションの第1弾として、ワイヤレス通信機器に搭載される高周波パワーアンプの製造ラインに向けたテストシステムをパッケージ化した。アジレント・テクノロジーのソフトウェア&モジュラーソリューションズ事業部で営業開発マネージャを務めるPhil Lorch氏は、「まずは、ワイヤレス通信と航空宇宙・防衛の分野をターゲットにして、そこで用いられるICチップやモジュール、機器などの開発や製造ラインに必要となるテストシステムのリファレンスソリューションを用意していく予定だ」と話す。
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