富士通とジャストシステムは、スマートフォンの文字入力機能を向上させる日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS(スーパー エイトック ウルティアス)」を共同開発した。文字入力のストレスを軽減するさまざまな機能が盛り込まれている。最初に搭載される製品は、2014年夏以降に発売するスマートフォンとなる。
富士通とジャストシステムは2014年4月24日、スマートフォンの文字入力機能を向上させる日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS(スーパー エイトック ウルティアス)」を共同開発したと発表した。「文脈変換」や「予測変換」、「英語入力支援」の機能に加えて、「話し言葉辞書」、「入力項目に適した辞書への自動変換」など、文字入力のストレスを軽減するさまざまな機能を盛り込んだ。富士通は、今後発売するユビキタス製品に順次、Super ATOK ULTIASを組み込んでいく計画だが、第1弾となる製品は2014年夏以降に発売するスマートフォンとなる予定だ。
富士通は、ICT(情報通信技術)を活用して、人がより安全で豊かに暮らせる社会「ヒューマンセントリック・インテリジェントソサエティ(HCIS)」の実現を経営ビジョンとして掲げている。そこで重要となる機器の1つがモバイル端末である。同社は人の判断や行動を支援するインタフェースであり、人同士のコミュニケーションツールと位置付けている。
富士通は、スマートフォンの操作性を向上するために、「うっかりタッチサポート」や「おまかせタッチ」、「らくらくタッチパネル」といった機能を開発しサポートしてきた。富士通の執行役員でモバイルフォン事業本部長を務める高田克美氏は、「スマートフォンなどでのコミュニケーション手段が『音声』から、『メール』や『LINE』などのテキストへと移行する中で、今回は文字入力に対する利用者のさまざまな不満を軽減するために、UI(ユーザーインタフェース)やSuper ATOK ULTIASなど、主に3つの技術を開発した」と話す。
1つは、入力ミスを限りなくゼロに近づけるタッチパネル技術である。高田氏は、「タッチミスにはハードウェア側の課題もある。タッチセンサーの反応速度や座標精度の問題、あるいは静電気を含めノイズによる誤判断などが考えられる」と話す。これらの課題を解決するため、今回は回路設計や電源設計においてノイズを低減する対策を施した。また、タッチする画面操作時に、指がわずかにずれてフリック入力と誤認識されるようなケースに対しては、コントローラICなども含めて調整を行った。
2つ目がコピペやカーソル移動などの編集操作をしやすくするUI技術の開発である。コピペ時の範囲選択では、画面に表示された「つまみ」を引っ張ると、カーソルをスムーズに移動させることができるという。また、「コピー」や「切り取り」、「すべて選択」など次の操作案内が表示される。編集ミスがあった場合も、「元に戻す」アイコンで簡単に元に戻ることができるようにした。
3つ目が富士通製スマートフォン用にジャストシステムと共同開発したSuper ATOK ULTIASである。最新のPC版ATOK相当の推測エンジンと、スマートフォン向けでは登録数が最大級の語彙を搭載する。
例えば、入力された文章の文脈や文節、単語を読み取って判断し、適切な漢字に変換する「文脈変換」、入力した言葉に合わせて次に入力する言葉を予測して表示する「予測変換」、さらには入力ミスの可能性を判断し、正しいと予測した候補の表示などを行う。また、人名や地名、話し言葉など、使用するアプリケーションに適した辞書の自動選択、日本語から英語への変換、といった機能を搭載した。さらに、『村上海賊の娘』など、話題性のある新しい言葉/単語も追加で用意され、登録したユーザーにリアルタイムで配信するサービス「ATOKキーワードExpress」もサポートしている。
ジャストシステムのCPS事業部長を務める田食雅行氏は、「複数社のスマートフォンについて、その入力効率を独自に調査した。10個のつぶやきを主なスマートフォンで入力し、そのタッチ数と候補表示される順位をポイント化したところ、Super ATOK ULTIASの操作数が最も少なく、効率よい文字入力システムであることが分かった」と話す。
富士通の高田氏は、「Super ATOK ULTIASを搭載した最初の製品は2014年夏以降に発売する新型スマートフォンである。Super ATOK ULTIASを搭載するのはAndroid端末で、それ以外のOSに対応する計画は今のところない。現行のスマートフォンでSuper ATOK ULTIASを利用できるようにするかどうかは、現在検討している」と語った。
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