NTTとNEC、富士通の3社は、チャネル当たり毎秒400Gビット級の光伝送技術の実用化にめどをつけた。開発した技術を光送受信装置に実装すれば、既存の光ファイバを活用して、従来に比べて4倍の光伝送を実現することが可能となる。
NTTとNEC、富士通の3社は2014年9月、チャネル当たり毎秒400Gビット級の光伝送技術の実用化にめどをつけたと発表した。開発した技術を光送受信装置に実装すれば、既存の光ファイバを活用して、従来に比べて4倍の光伝送を実現することが可能となる。
NTT、NEC、富士通の3社は、2012年度に総務省の委託研究「超高速・低消費電力光ネットワーク技術の研究開発」を受託し、共同研究開発を行ってきた。今回はその開発成果の1つであり、チャネル当たり毎秒400Gビット級の光伝送を実現するための要素技術となる。
成果の1つが「適応性の高い毎秒400Gビット級の適応変復調技術」の開発である。従来の毎秒100Gビット伝送で採用している4値位相変調(QPSK:Quadrature Phase Shift Keying)に加えて、容量を拡大するために光の位相と振幅の両方に情報を重畳して多重化した8値直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)と16値QAMを採用しつつ、ナイキストフィルタリングと呼ぶ帯域圧縮技術によってサブキャリア多重を組み合わせた。
特に、「光伝送路の特性に応じて、回線品質が適切になるよう変調方式を選択することで、効率の良い光ネットワークの運用を可能とする適応変復調技術を、8値QAMを含めて電子回路に実装可能なアルゴリズムで実現したのは世界でも初めて」と主張する。これによって、光ファイバ1芯あたり毎秒10〜20Tビットの容量で、500〜1500kmの伝送距離をカバーすることができる。しかも、同一ハードウェアでさまざまな変復調方式に対応することができるため、適応性の高いネットワークを実現することが可能となる。
もう1つの開発成果は、「長距離伝送を可能とするデジタル逆伝搬信号処理による補償機能」を実現したことだ。今回開発したデジタル逆伝搬信号処理は、アルゴリズムと回路方式を工夫した。演算する量を大幅に削減することで回路への実装を可能とし、非線形光学効果の補償機能を回路上で実現した。この結果、長距離伝送において装置数を削減することができ、ネットワークシステムの消費電力を節減することも可能となる。
NTT、NEC、富士通の3社は、今回開発した技術を用いて伝送実験を行った。海底伝送路をモデルとした光中継伝送では最大1万km、陸上伝送路をモデルとした光中継伝送では最大3000kmのストレートラインを用いて実験を行い、実用化に必要な機能を実現できることを確認した。
今後も3社は、400Gビット級光伝送の早期実用化に向けて共同研究を継続しつつ、国内外の機関とも連携を取ながら、開発成果をグローバルに広げていく予定だ。
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