Microchip Technology(マイクロチップ・テクノロジー)は、2014年7〜9月期における売上高の減少要因について、中国経済の鈍化を挙げた。同社は2014年10月に売上高予測を下方修正していて、その影響を受け、複数の半導体チップメーカーの株価が下がっている。
Microchip Technology(マイクロチップ・テクノロジー)は、2014年9月30日を末日とする2015会計年度第2四半期において、当初の売上高目標を達成できなかったことを明らかにした。さらに、同会計年度第3四半期には、1桁台の減少を見込んでいるという。同社は2014年10月初めにも、売上高予測の下方修正を発表しているが、それを受けて、複数の半導体チップメーカーの株価が下がる結果となった。Microchip Technologyは、今回の売上高減少の要因について説明した(半導体業界は本当に低迷している? ――アナリストの見解とは)。
Microchip Technologyの2015年会計年度第2四半期における売上高は、5億4620万米ドルだった。2014年7月31日時点の予測では、5億6000万〜5億7500万米ドルだったという。同社は売上高減少の要因として、中国の経済状況を挙げ、社内の問題によるものではないとしている。同社の社長兼CEO(最高経営責任者)であるSteve Sanghi氏は、「今回の業績低迷を発表した結果、大きな混乱を生じさせる結果となった」と述べる。
Sanghi氏は、「半導体分野への投資関連のコミュニティでは、当社の今回の業績に関して、社内に何らかの問題が生じたことによるものなのか、または脆弱化しているマクロ経済環境を反映したものなのか、といった議論が盛んに行われている。業界全体への影響は、1四半期ほどの短い間に変化するとみている。短期的な問題であるため、根深い問題にはならないだろう」と述べている。
Sanghi氏は、Microchip Technologyの売上高低迷の要因として、中国国内のさまざまな問題を取り上げている。中国は、同社事業の大部分を占めているためだ。中国ではここ5年間で、生産速度が過去最低を記録した他、国内総生産(GDP)が低迷し、住宅供給も伸び悩んでいるという。また同氏は、「このような中国の影響を受けずに済んだのは、Appleとの協業関係にあるメーカーだけだ」と指摘する。
同氏は、「当社の2015会計年度第2四半期における事業活動のレベルについて、落胆を隠せない。第2四半期の売上高は例年、夏のホリデーシーズンを受けて力強く伸びる傾向にある。今回の軟化傾向は、顧客需要において生じている。顧客需要が4〜5%低下した場合、メーカーは供給量を、さらに低い割合で差し引く」と述べている。
それでもMicrochip Technologyには、全体的な売上高やマイコンの売上高、ライセンスビジネスの分野などにおいて、明るい材料がいくつかある。2015年会計年度第2四半期のNon-GAAP(一般会計原則に基づかない方式)による売上高は、同年前期の5億3130万米ドルからは2.8%増、前年同期比では10%増となっている。また、マイコン事業部門の売上高全体に占めるシェアは、台湾ISSC Technologiesの買収による売上高も含め、前年比で5.7%増となる66.2%に達したという。その要因としては、16ビットマイコンの売上高が前期比で8.3%増加したことの他、32ビットマイコンの売上高が2014年会計年度比で7.6%増となり過去最高を達成したことなどが挙げられる。
Sanghi氏は、「2015会計年度第2四半期に市場調整が行われたことにより、当社の同年第3四半期の売上高は、例年の季節的な傾向をわずかに下回る程度にとどまるとみている。Non-GAAPによる売上高に関しては、前期比で2〜7%減となる見込みだ」と述べている。
半導体業界の縮小については懐疑的な見方がある一方で、市場調査会社であるIC Insightsのバイスプレジデントを務めるBrian Matas氏は、それほど楽観してはいないようだ。「各社の7〜9月期の業績を見ると、好調と不調が入り混じっている。10〜12月期の予測も同じだ。良いとも悪いとも言えない状況が続いている」(同氏)。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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