モバイル向けチップ事業で苦戦するIntelは、同事業をPC向けチップ事業に統合する。
Intelは経営を合理化し、苦戦しているモバイル部門の対策として、2015年初めにモバイル向けチップ部門をPC向けチップ部門に統合する計画だ。
IntelのMobile and Communication Groupの2014年第3四半期の営業損失は10億米ドルに達し、売上高は前年同期から100万米ドルも減少した。同部門は収益性の高いPC Client Groupに統合される。PC部門は2014年第3四半期に前年同期比6%増となる92億米ドルの売上高を計上した。統合後は、現在PC部門を率いるKirk Skaugen氏がモバイル部門の指揮も執ることになる。
Intelの広報担当者Chuck Mulloy氏はEE Timesに対し、「製品間の境界線が不鮮明になってきている。携帯電話機はファブレット化、タブレットは2-in-1化が進む。携帯電話機向けプロセッサとタブレット端末向けプロセッサは入り混じっている。モバイル市場はわれわれが追い付くのを待ってはくれない。スマートフォン向け、タブレット端末向け、と分けるのではなく、ひとくくりの製品群として扱うのが妥当だと考えている」と語った。
Mulloy氏は、「Intelの『Core-M』はモバイルプロセッサ『Atom』と似たアーキテクチャを持つため、Atomの代わりとしていくつかのタブレット端末に採用されている」と述べた。
IntelのCore-Mは、Apple以外のタブレット端末向けプロセッサ市場をリードしている。Tirias ResearchのKevin Krewell氏は、Core-Mを扱う部門とAtomを扱う部門の統合について、「どちらのプロセッサがどちらに向いているのか、より適切に見極められることになるだろう」との見解を示している。
Mulloy氏は、「今回の部門統合によってIntelのモバイルロードマップが変わることはない」と述べ、IntelのProduct Engineering Groupにモデム部門が加わる予定だと付け加えた。
Krewell氏はIntelのモデム事業への投資については懐疑的だ。同氏は、「スマートフォン事業の目標は、統合した製品を売ることだ。Intelのモデム部門はもともとInfineon Technologiesから買収したもので、モデムはTSMCの工場で製造されていて、Intelの製造工場には統合されていない。恐らくIntelは、ライセンス供与やパートナー協業などに、より関心を持っていると考えられる。中国でAtomプロセッサを拡販する時も同様の戦略を取ったからだ。モデムに関しては、売り上げのほとんどはスタンドアロン型の製品によるものだ」と述べた。
一方、Mulloy氏は、モバイルもしくはモデム事業の売却が道理に合うようになったとしても、Intelにそのような計画は一切ないと述べた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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