オランダのKPMGが半導体業界のビジネスリーダーを対象に調査したところ、「ムーアの法則の有用性は存続する」と予想しているのは、回答者の1/4で、半数以上が「22nmプロセス以降では、ムーアの法則の存続は難しい」と考えていることが分かった。
ゴードン・ムーア氏が提唱した、半導体業界の指標となる「ムーアの法則」は、2015年4月で50周年を迎える。半導体業界は今後も、この法則通りに技術革新を続けられるだろうか。「そうは思わない」という意見もあるようだ。
オランダのコンサルタント会社であるKPMGが半導体業界のビジネスリーダー*)を対象に実施した年次調査では、「ムーアの法則の有用性が当面は続く」と予想したのは回答者の25%だけだった。半数以上が、「22nm以降のプロセスでは、ムーアの法則を適用できない」と予想している。さらに16%は、「ムーアの法則は既に終えんを迎えている」と回答したという。
*)グローバル半導体企業のシニアエグゼクティブ155人を対象に調査を実施。
KPMGの調査報告書からは、半導体業界の世界的なリーダーにとっても、ムーアの法則に関しては確信的な予想を示すのは難しいことが分かる。だが、それ以外の今後5年間の展望に関しては、確信を持って予測している。
KPMGの調査によると、2015年に自社の利益成長を見込む半導体リーダーの割合は81%で、2014年の77%から増加したという。ただし、成長率に関しては、回答者のほとんどが1〜5%と穏やかな成長を予想している。この数字は、アナリストの予測と一致する。
だが、全ての回答者が一様に穏やかな成長を予想しているわけではない。20%は、「10%以上の高い利益成長が期待される」と回答している。成長率が2桁台に上ると予想しているのは、メモリ、無線通信、データ通信、車載といった分野で高い利益をあげている企業だ。
KPMGの調査では、今後3年間の利益成長率についても設問している。回答からは、半導体業界の現在のサイクルステージと状態について、次の3つのことが分かった。
「最も成長が期待されるのは半導体業界のどのセグメントか」という設問では、予想通り「センサー技術」という回答が最も多かった。センサー技術は、成長率の高いアプリケーションで搭載が進んでいる。「2015 International CES」(2015年1月6〜9日、米国ラスベガス)では、特にIoT(モノのインターネット)向けにセンサーを搭載した製品が多く見られた。
半導体業界のリーダーは、センサーの次に成長が期待される技術として、マイクロプロセッサやその他のロジック回路、オプトエレクトロニクスを挙げている。メモリー技術に対する評価も高かった。その背景には、ストレージの需要増や、需要と供給が好ましいバランスにあることなどがある。
また、回答者は、「今後3年間で、業界が直面する最も大きな課題」として、研究開発費の増大を挙げた。
半導体業界のリーダーの2/3は、2015年もメーカーの統合や買収が進むと予測している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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