TSMCは、2015年夏に16nmプロセス技術を実現できる見込みだとする一方で、話題を集めている10nmプロセス技術についてもロードマップを発表した。
10nmプロセスでは、密度を2.1倍に高められる他、トランジスタ性能を20%向上し、消費電力量を40%削減することが可能だという。同社は、10nmプロセスを適用した256MバイトSRAMのデモを披露していて、2016年末までには10nmプロセス適用チップの製造を開始する予定だという。また、各設計段階において、10社を超える企業との間で協業関係を構築していることについてもほのめかしている*)。
*)関連記事:「経験で設計すると失敗する」、ルネサスが提示する16nm FinFET SRAMの課題
Jones氏は、「10nmプロセスは、長期にわたり持続可能な技術となるだろう。TSMCが10nmプロセス技術を加速していくことにより、業界全体にもよい影響が及ぶのではないだろうか。10nmプロセスが進展していけば、最終的には8nmプロセスに到達する可能性もある。これによりTSMCは、Intelとの差を縮めることができるだろう。TSMCは今まさに、勢いに乗っているところだ」と述べている。
Jones氏は、「TSMCは16nm/10nmプロセス技術開発において、これまでに115億〜120億米ドルの資金を投入してきた。このため、従来通り顧客企業を確保する必要がある」と指摘する。
TSMCは、10nmプロセス開発の取り組みを強化していく上で、2016年第2四半期に、10nmチップの製造装置を備える新工場の建設に着手する予定だ。また、2015年第2四半期には、既存の工場に10nmチップ向けの製造装置を移管する予定だという。
TSMCにとって、10nmプロセス技術開発における最大のライバル企業は、Intelだ。Intelは今後12〜18カ月以内に、10nmプロセス適用チップの量産を開始する予定だとしている。TSMCにとっての課題は、Intelに対抗していつ実行するのかというタイミングではなく、Intelが設計や製造上の問題に関して強みを持っているという点ではないだろうか。
Jones氏は、「16nm/14nmプロセス技術では、どの企業が他をリードしているのかが明確に分からなかった。しかし10nmプロセス技術では、TSMCが優位性の確保に向けて重要な取り組みを進めているといえる。もしTSMCがそれを実現して、Intelとの差を縮めることができれば、次の論争の的となるのは、“TSMCの10nmプロセスとIntelの10nmプロセスは同じレベルなのかどうか”という点になるだろう」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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