高橋研究室は、光触媒ナノ粒子を使った3次元の微細加工技術の研究も展示した。金属や誘電体を使って、マイクロメートルのオーダーで自由に3次元形状を作るというもの。フォトニック結晶やメタマテリアルへの応用が期待できるという。
形状を作る原理は次の通りだ。光触媒として使うナノ粒子と銀イオンを溶解した液体を用意する。光触媒ナノ粒子には酸化チタンが用いられている。その液体をスライドガラスに垂らし、カバーガラスを置く。そのスライドガラスに、レーザーを集光した加工ビームを当てると、ビームを当てた所で光触媒反応が起こり、銀イオンが電子を得て、銀が析出する。ビームを走査すると、その軌跡に沿って銀イオンが析出するので、任意の形状を作れることになる。

左=銀イオンと光触媒ナノ粒子および加工ビームによって、3次元形状を作ることができる。灰色で描かれている直線が、ビームを走査させたところと考えればよい。その直線上に銀が析出している(黄色の丸で示されている)。右=実験装置の模式図。対物レンズを使って加工ビームを当てる。スライドガラス上に垂らした液体とカバーガラスの厚みは、わずか100μm程度である(クリックで拡大) 出典:東京大学 先端科学技術研究センター 高橋研究室担当者によれば、レーザーの波長がポイントになるという。現在は405nmを用いているが、それより短くても長くても、光触媒反応が起きないなどの問題が出てくる。光触媒ナノ粒子が、最も光を吸収するのが405nmだという。
超高速タブレットが実現か、「チップ内」光伝送で消費電力も下がる
NECのメタマテリアル「応用」アンテナ、その開発思想を探る
“透明マント”が現実に? トロント大学が新技術を発表
解像度10nm台の微細加工に対応可能、キヤノンのナノインプリント半導体製造装置Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング