3Dプリンタで100nmオーダーの加工が可能に? エバネッセント光を使う微細加工:東大駒場リサーチキャンパス公開2015(2/2 ページ)
高橋研究室は、光触媒ナノ粒子を使った3次元の微細加工技術の研究も展示した。金属や誘電体を使って、マイクロメートルのオーダーで自由に3次元形状を作るというもの。フォトニック結晶やメタマテリアルへの応用が期待できるという。
形状を作る原理は次の通りだ。光触媒として使うナノ粒子と銀イオンを溶解した液体を用意する。光触媒ナノ粒子には酸化チタンが用いられている。その液体をスライドガラスに垂らし、カバーガラスを置く。そのスライドガラスに、レーザーを集光した加工ビームを当てると、ビームを当てた所で光触媒反応が起こり、銀イオンが電子を得て、銀が析出する。ビームを走査すると、その軌跡に沿って銀イオンが析出するので、任意の形状を作れることになる。
左=銀イオンと光触媒ナノ粒子および加工ビームによって、3次元形状を作ることができる。灰色で描かれている直線が、ビームを走査させたところと考えればよい。その直線上に銀が析出している(黄色の丸で示されている)。右=実験装置の模式図。対物レンズを使って加工ビームを当てる。スライドガラス上に垂らした液体とカバーガラスの厚みは、わずか100μm程度である(クリックで拡大) 出典:東京大学 先端科学技術研究センター 高橋研究室
担当者によれば、レーザーの波長がポイントになるという。現在は405nmを用いているが、それより短くても長くても、光触媒反応が起きないなどの問題が出てくる。光触媒ナノ粒子が、最も光を吸収するのが405nmだという。
今回の方法で作成した、花のような形状の構造物。直径は約200μmである(クリックで拡大) 出典:東京大学 先端科学技術研究センター 高橋研究室
- 超高速タブレットが実現か、「チップ内」光伝送で消費電力も下がる
光を使った有線通信は高速で、電力消費が少ない。光の採用はまず光ファイバー利用の通信インフラ、次に筐体間接続、チップ間接続という順に広がってきた。最後は「チップ内」だ。プロセッサなどさまざまなチップ内で光伝送を利用できれば、タブレットなどのモバイル機器などでも光のメリットを享受できる。東京都市大学の研究チームは光伝送に必要なSi(シリコン)発光デバイスの大幅な改善に成功した。
- NECのメタマテリアル「応用」アンテナ、その開発思想を探る
NECが作り上げた独自構造のアンテナは、安定した通信特性や業界最小クラスの寸法を実現したことが特徴である。ビルや宅内のエネルギー管理システム用の無線通信モジュールなどに幅広く使える。このような特徴をいかに実現したのか? その答えは、「メタマテリアルを応用」という言葉に隠されている。
- “透明マント”が現実に? トロント大学が新技術を発表
“透明マント”は、物体を覆うことで光を屈折させ、その物体が透明になったように見せるものだ。これまでは、メタマテリアルから透明マントを作り出そうとする研究開発が盛んだったが、カナダの大学がメタマテリアルを使わずに物体を透明化する新しい方法を開発したという。
- 解像度10nm台の微細加工に対応可能、キヤノンのナノインプリント半導体製造装置
キヤノンは、開発中のナノインプリント技術を用いた半導体製造装置について、2015年中の製品化を目指している。同装置は解像度10nm台の微細加工に対応することが可能である。まずはフラッシュメモリの製造ラインへの導入を予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.