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通信の高速化と電力効率向上トレンドに追従、オシロは汎用より用途特化へキーパーソンに聞く、テクトロニクスの製品戦略(3/3 ページ)

» 2015年06月26日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]
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オシロは全レンジで技術革新をめざす

EE Times Japan オシロスコープの製品開発において重要視しているポイントは何ですか。

Thompson氏 ベーシック、メインストリーム、ハイパフォーマンスの全ての製品レンジにおいて、技術革新を行っていくことだ。その上で顧客に対して最適なテストソリューションを提供していきたい。『技術革新』と『カスタマーフォーカス』を継続することで、業界におけるリーダーとしての地位をキープし続けていくことが可能だと確信している。

非同期タイムインターリーブ、スペアナとの融合

パフォーマンスオシロスコープのゼネラルマネージャを務めるBrian Reich氏

Reich氏 製品戦略としては、汎用品の展開よりも、アプリケーションに特化したビジネスを展開していきたい。注力していくアプリケーションとしては、『モバイルコンピュータ』、『エンタプライズコンピュータ』、『データコミュニケーション』、『長距離通信』、『RF無線』、『電源』、『車載システム』などである。これらは、ほとんどソフトウェア対応で特定領域をカバーしていくことになるが、必要に応じて専用プローバ―や特殊ケーブルなどのハードウェアも用意していく。顧客独自のカスタマイズ要求にも応じていく。

 最近の技術革新の代表例を挙げるとすれば、Knierim氏が発明した非同期タイムインターリーブ(ATI:Asynchronous TimeInterleaving)の技術がある。ATI技術は70GHz帯域のリアルタイムオシロスコープ「DPO70000SX型」に搭載されている。この製品は、従来の周波数インターリーブ技術を用いた製品に比べ、ノイズを低減することで高品質の信号測定を可能とした。長距離ネットワークの光変調解析や次世代無線通信などの研究/開発に貢献している。

 オシロスコープをベースにスペクトラムアナライザ機能を搭載した「MDOシリーズ」も信号観測/解析における技術革新の1つだ。周波数軸と時間軸の信号波形測定機能を1台の測定器で行うことができる。組み込み機器の設計者が、開発した電子回路のテストや評価などを行う際、主にオシロスコープを利用しているデジタル回路の設計者でも、スペクトラムアナライザ機能を使ってRF回路の評価を比較的容易に行うことができるようにした。このようにユーザーの使い勝手を向上させることも、重要な技術革新だと思っている。

 波形解析ソフトウェア「TekScope Anywhere」は、使い方の技術革新といえよう。WindowsベースのPCやサーバ、タブレット上にソフトウェアを実装しておけば、オシロスコープで捕捉した波形データなどを活用して、オシロスコープ以外の装置でタイミング/アイ/ジッタ解析などを行うことができる。

 これにより、開発に携わる多くのエンジニアが、オシロスコープで捕捉したデータをPC環境などで共有し、チェックすることが可能となる。他社製測定器で捕捉したデータも含め、社内外問わず測定データを共有することができる。設計した電子回路/システムについて、シミュレータによる検証/評価データと、試作モジュールによる実測値との比較なども容易に行える。このため、回路設計に不具合があった場合でも、実測情報を設計チームにフィードバックすることで、開発期間を短縮できる可能性が高くなる。

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