Gartner(ガートナー)は、半導体ベンダーが安定成長を続けるには、多くの新興企業や小規模の電子機器企業にフォーカスした事業戦略が重要との見解を示した。特に、急成長しているのが中国の小規模顧客市場だという。
米国の調査会社であるGartner(ガートナー)は2015年8月、半導体ベンダーが安定成長を続けるには、多くの新興企業や小規模の電子機器企業にフォーカスした事業戦略が重要との見解を発表した。特に、急成長しているのが中国の小規模顧客市場だという。
ガートナーによれば、半導体チップを購入している企業は全世界で16万5000社を超えるという。この中で、上位10社が購入する半導体チップの額は、半導体チップ売上高の40%近くを占めている。購入額ランクが11〜100位までの企業における比率は全売上高の30%、残りの約30%が100位以下の企業によるものである*)。
*)関連記事:2014年の半導体購入額、1位サムスン、2位Appleで変わらず
上位10社の購買力は半導体市況に大きな影響力を持つが、ガートナーによれば、過去5年間で大手顧客の中でも数社は発注額が減少傾向だという。こうした大手企業を主たる納入先としている半導体ベンダーにとっては、依存度が大きいほどリスクへの懸念も高まることになる。
こうした中で、半導体ベンダーがこれから注力すべき分野として、ガートナーが提唱しているのが、新興企業や小規模の電子機器企業を対象とした事業展開である。「大手顧客との不安定な大口取引に依存するのではなく、安定的に高成長をもたらす数多くの小規模企業に焦点を当てる必要がある」と指摘する。ガートナーによれば、新興企業及び小規模電子機器企業が2014年に購入した半導体チップ額は783億米ドルとなり、半導体チップ市場全体に占める割合は23%に達している。
とりわけ、急成長している地域として、小規模企業が多く存在する中国を挙げた。小規模企業に分類される企業の半導体チップ購入額は、2007年の75億米ドルに対して、2014年は149億米ドルとほぼ倍増した。スマートフォンやタブレット端末向けなどが半導体チップの需要をけん引している。また、日本や米州、欧州、中東、アフリカなどでも、各企業に対する販売額は小さいものの、小規模企業の数が多いため、小規模企業向け全体の売上高は拡大基調にあるという。
この他、新興企業や小規模の電子機器企業にフォーカスした事業戦略を展開するにあたって、販売代理店を活用することや、小規模顧客市場における課題を事前に理解しておくことが重要であることも付け加えている。
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