マキシムでインダストリアルパワー製品のエグゼクティブディレクタを務めるAnil Telikepalli氏は、「これまでも、PWMコントローラICやMOS FETなどをワンパッケージに集積したパワーモジュール製品は他社からも提供されている。しかし、スイッチング周波数や出力電圧などの変動に対して、補償回路用の部品までは内蔵されていなかった。Himalaya モジュールは、独自に開発したアーキテクチャの採用などにより、これらの回路部品もSiPに集積することができた」という。
Himalaya モジュールは、ほとんどの周辺回路を集積したことで、実装する回路基板の占有面積を大幅に削減することができる。それに加えて、電源回路の専門的な知識や十分な経験がなくても、容易に電源システムの設計が可能となる。Himalaya モジュールを用いると、入出力のキャパシタ及び、出力を変更するためのレジスタデバイダを外付けするだけで、電源システムを構成することができる。必要な外付け部品は4、5個で済むという。
これに対して、「従来のようにパワーマネジメントICやスイッチング素子、インダクタなどを個別に組み合わせた場合は25〜30個の部品が必要だった。補償用部品などが内蔵されていない従来のパワーモジュールだと、8〜10個の外付け部品が必要」(Telikepalli氏)と話す。Himalaya モジュールを用いれば、回路基板への実装面積は主要ICと個別部品を組み合わせた場合に比べて、20%以下に削減することが可能となる。
Himalaya モジュールの価格は、Himalaya ICに比べると3〜4倍と高いが、BOM(Bill of Materials)コストやテストコスト、あるいは電源システムとしての信頼性、使い勝手を考慮すると、モジュールを活用するメリットは大きいと同社ではみている。システム設計者にとっては、電源モジュールに対する開発負荷を軽減することで、製品のコアとなる部分に多くの開発リソースを振り向けることもできる。
Himalaya モジュールは、産業機器や空調装置、ロボット装置のモータ制御、通信関連装置、FPGAやDSP、メモリに電源供給するPOL(Point of Load)コンバータなどの用途に向ける。第1弾となるHimalaya モジュールは、高耐圧製品を中心に製品化した。今後は、車載用途も含めて幅広い用途向けに製品展開を図っていく計画である。
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