同研究グループは、こうした理論計算に基づき、直径400μmの石英管に液体金属(ガリウム合金)を流す実証実験を実施。実際に、渦運動を駆動するために、0.1Mパスカルから0.6Mパスカルの圧力を液体金属に加え、スピン流を生成。管の流入/流出口に設置した端子で電気信号を取り出すことに成功した。加える圧力が大きいほど、取り出せる電圧も高くなり、0.6Mパスカルの圧力を加えた際に100nVを測定したとする。
同研究グループは、実証実験により「電子のスピンが、液体金属の渦運動と量子力学的に相互作用することが世界で初めて証明された」とする。
今回の実証実験で得られた電気信号は100nVと極めて微弱だが、同研究グループは「微弱な電力で駆動するナノロボットの電源装置への応用が期待される」とその有効性を指摘する。さらに、「得られる電気信号の強度が流体の速度(分布)に応じて変化することを利用して、ミクロンスケールの微小な領域における流体の速度を電気で観測する流体速度計の実現も期待できる」としている。
スピンを応用した“完全不揮発マイコン”を開発――消費電力は従来マイコンの1/80
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埋もれた強磁性層からスピン分解電子状態を検出、デバイスの特性向上に期待Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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