Qualcomm(クアルコム)が28GHz帯をサポートする5G対応モデムチップを発表した。800MHzの帯域幅をサポートすることで、最大5Gビット/秒の下り通信速度を実現できるとしている。サンプル出荷は2017年後半となる予定だ。
Qualcomm(クアルコム)の子会社であるQualcomm Technologiesは2016年10月18日、5G(第5世代移動通信)に対応したモデムチップ「Snapdragon X50」を発表した。同社は、「5G向けモデムチップの製品化は業界初である」としている。Snapdragon X50は、5G対応のスマートフォンを開発するメーカーや、5Gの実証実験を行う通信事業者などをターゲットとしている。Qualcommは現在、香港で「Qualcomm 4G/5G Summit」(同年10月17〜19日)を開催中だ。
Snapdragon X50は、最初は28GHz帯のミリ波をサポートする予定だという。ビームフォーミングやビームトラッキングに対応するMIMOアンテナ技術を搭載している。帯域幅は800MHzで、最大で下り5Gビット/秒の通信速度に対応できるよう設計されているとする。ミリ波帯の利用は、5Gに必要とされる高速通信を実現する上で鍵となっている。特に28GHz帯は米国と韓国がターゲットとしていた周波数帯で、米国の通信事業者Verizonは、28GHz帯を利用した5Gの商用サービス*)を早ければ2017年にも開始する予定だ。
*)ただし、2017年には、3GPPによる5Gの規格策定は完了しないため、5G規格に完全に準拠したサービスではない。
Snapdragon X50は、4Gおよび5Gのマルチモード対応で、LTEモデムを搭載したQualcommのアプリケーションプロセッサ「Snapdragon」シリーズと組み合わせて使用できる。
Snapdragon X50のプラットフォームには、モデムチップ、ミリ波トランシーバーIC「SDR051」、パワーマネジメントIC「PMX50」が含まれる。
Snapdragon X50のサンプル出荷は2017年下半期を予定している。同モデムチップを搭載した最初の製品は、2018年上半期に市場に投入されるとみられる。
Qualcomm Technologiesのエグゼクティブバイスプレジデントと努めるCristiano Amon氏はプレスリリースの中で、「Snapdragon X50の登場は、通信事業者にとっては5Gの到来を告げるものとなるだろう。端末メーカーにとっても、(開発した5G対応端末を)テストできる環境が整うということを意味する」と述べている。
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