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Intel創業3年目、売り上げが前年の11倍に急増して赤字が縮小福田昭のデバイス通信(170) Intelの「始まり」を振り返る(3)(2/2 ページ)

» 2018年11月28日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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総収入は前年の7.5倍に増加、50万ドルの特別利益が発生

1969年〜1970年におけるIntelにおける主な出来事(クリックで拡大)

 「3101」と「1101」の2つのSRAMを開発したことにより、創業3年目(1970年)にIntelは売り上げを急激に拡大させていく。1970年の業績を記述した年次報告書を見ていこう。

 1970年におけるIntelの総収入は424万1253米ドルである。内訳は製品売り上げが393万2517米ドル、利息収入が24万1358米ドル、ロイヤリティー収入が6万7378米ドルとなっている。総収入は前年の7.5倍、製品売り上げは前年の10.6倍と大きく伸びた。

 対する総経費は569万1879米ドルである。内訳は販売費が276万6262米ドルで総経費の半分近くを占める。研究開発費は129万7450米ドルで前年とほぼ同じ水準にある。マーケティング費および一般管理費は162万8167米ドル。総経費は前年の約2.3倍に増えた。

 総収入から総経費を差し引いた損益は、145万626米ドルの赤字である。赤字は前年の75%に減少した。全体としては、業績がかなり改善されたことが分かる。

 1970年には特別利益が発生した。カナダの製造企業(注:企業名は年次報告書には記載されていない)に対してIntelの製造技術を供与する契約を結んだことによる。技術料として50万米ドルを1970年に得ることとなり、経費を差し引いた残りの48万711米ドルを特別利益として計上した。この結果、赤字は最終的には96万9915米ドルにまで縮小した。

創業3年目(1970年)の業績ハイライト。Intelの年次報告書(アニュアルレポート)から作成(クリックで拡大)

 1970年10月にIntelは、世界で初めてのダイナミックRAM(DRAM)「1103」を製品化する。「1103」は、メインフレームの主記憶で使われていた「磁気コアメモリ」を置き換えるべく開発した、戦略的な製品である。「1103」がIntelの業績に影響を与え始めるのは翌年、すなわち1971年になる。

次回に続く)

福田昭のデバイス通信【Intelの「始まり」を振り返る】記事一覧
創業1年目 研究開発主体で売り上げは「ゼロ」
創業2年目 初めての製品売り上げを計上するも赤字は拡大
創業3年目 売り上げが前年の11倍に急増して赤字が縮小
創業4年目 半導体メモリのトップベンダーに成長
最終損益が黒字に転換
創業5年目 収入が前年の2.5倍に、初めての営業黒字を計上
腕時計メーカーになったIntel
創業6年目 クリーンルームに防塵衣がまだなかった頃
創業7年目 「シリコン・サイクル」の登場
DRAMが「特殊なメモリ」だった理由
パソコンを生み出した「8080」プロセッサが登場
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