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独自技術と相性のよい市場を探す、トレックスの戦略「全ての領域は追わない」(2/2 ページ)

» 2018年12月06日 13時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]
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銅の電極端子を使った新しいパッケージング技術

 Henson氏は、“トレックスらしい製品”として、コイル一体型のDC-DCコンバーターシリーズを挙げる。産業向けとしては、入力電圧が最大36Vの「XCL230/XCL231」がある。24Vセンサーで使用できるようにした製品だ。外形寸法は3×3mm。この製品で最も特徴的なのは、DC-DCコンバーターICとコイルを統合する方法だ。ICパッケージに「Copper CoolPost」と呼ぶ銅の電極端子を2つ設ける。銅電極端子はパッケージ上面に露出していて、そこにコイルを実装することで、ICパッケージとコイルを一体化する。これによって、コイルはCopper CoolPostを介して熱を効率よくPCB(プリント配線板)に拡散できるようになり、全体として熱特性が格段に向上するという。

「Copper CoolPost」を使ったパッケージング技術。トレックスは、このパッケージを加藤電器製作所と共同で開発し、特許を取得している 出典:Torex Semiconductor Europe(クリックで拡大)
Copper CoolPostを用いると、用いていない場合に比べて熱特性が約30%向上したという 出典:Torex Semiconductor Europe(クリックで拡大)

 Copper CoolPostを用いたコイル一体型DC-DCコンバーターシリーズは、特にIoT(モノのインターネット)など小型センサーを使う用途に適していると、Henson氏は述べる。小型センサーでは発熱は非常に大きな課題だからだ。

 Henson氏は、「われわれの戦略は、車載市場でも産業市場でも基本的に同じだ。全ての領域に注力しようとせず、小型、高効率、低消費電流をはじめとする、トレックスが持つ特徴的な技術と最も相性がよい市場セグメントを探して勝負しにいく、というのが基本的な戦略だ」と語った。

Torex Semiconductor EuropeのGareth Henson氏
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