WDのHDD事業部長であるAshley Gorakhpurwalla氏は、OptiNANDの容量に限界はないと考えているが、顧客にサンプル提供している第1世代は、プラッターあたり2.2TBの9枚のディスクを搭載したプラットフォームで、20TBという大容量を実現しているという。同氏は、「われわれの顧客による大量生産と導入が順調に進んでいる」と説明。ドライブのレイテンシの改善は、ドライブのファームウェアを独自に最適化することで達成しており、隣接トラック干渉(ATI)のリフレッシュを少なくし、ライトキャッシュ有効モードでのライトキャッシュフラッシュの必要性を減らすことに重点を置いている。
Gorakhpurwalla氏は、「OptiNANDは、当社のエネルギーアシスト垂直磁気記録(ePMR)の機能を複数世代にわたって拡張するもので、10年以内に50TBのEMRドライブを提供できると確信している。機能、性能、結果、最適化などのパイプラインやロードマップはすでに計画している」と述べている。
同氏は、「OptiNANDを採用する際、顧客はソフトウェアカスタマイズについて心配する必要はない」と説明する。ソフトウェア、ファームウェア、メカニカルおよびエレクトロニクスの変更は全てWDの製品に含まれており、ドライブのフォームファクターは既存のインタフェースと電源規格を使用している。「メモリ層を追加し、ドライブの制御システム内の機能を強化した場合、それを適切に管理することが可能だ」(同氏)
Gorakhpurwalla氏は、「OptiNANDは、指数関数的に増加するデータに対応したいという顧客のニーズを反映しており、データセンターにおいてスピニングディスクはフラッシュSSDと組み合わせて重要な役割を果たし続けている」と述べる。同社が以前に発表した「Zoned Storage*)」のコンセプトでは、クラウドやハイパースケールデータセンターを対象としたストレージ設計の一部としてHDDが採用された。そのアーキテクチャでは、シングル磁気記録方式(SMR)HDDと、新たに登場したZNS(Zoned Namespaces)規格のNVMe (Non-Volatile Memory express)SSDを組み合わせることで、ゼタバイト規模のストレージ需要に対応するために必要な容量を確保するとともに、より優れた耐久性と予測可能な低遅延QoS (Quality Of Service)パフォーマンスを実現している。
*)Zoned Storage:ゾーンブロックマネジメントの利点を活用し、堅牢で効率的な専用ストレージ層を構築し、現在から将来まで競争力の高いTCO(Total Cost of Ownership)を実現するためのツールやリソースを集約する取り組み。
また、最新のNVMe仕様では、SCSI(Small Computer System Interface)がPCIeやNVMeに置き換わっても、HDDに対応する必要があるため、機能や管理機能、その他の拡張機能を更新してHDDをサポートしている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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