台湾のUnited Microelectronics Corporation(以下、UMC)は、LCDドライバのパッケージングを専門に手掛けるChipbond Technology(以下、Chipbond)と株式の交換(スワップ)を行った。それにより、UMCはChipbondの株式の9%を保有することになった。
台湾のUnited Microelectronics Corporation(以下、UMC)は、LCD(液晶ディスプレイ)ドライバーのパッケージングを専門に手掛けるChipbond Technology(以下、Chipbond)と株式の交換(スワップ)を行った。それにより、UMCはChipbondの株式の9%を保有することになった。
2社は、LCDドライバー事業において顧客に付加価値を提供するためのより密接な関係を結んだ。半導体ファウンドリーであるUMCは、14nmから0.6μmに及ぶプロセス技術を有する。ChipbondはドライバーICのパッケージングとテスト、フリップチップバンプの製造、WCSP(Wafer Level Chip Size Packaging)と呼ばれるパッケージングとテストに注力している。また、ChipbondはFOSiP(Fan Out System in Package)やFCSiP(Flip Chip System in Package)にも投資している。
Research and Marketsによると、2社がターゲットとしているディスプレイドライバー市場は、2021年から2026年の間に5%の年平均成長率(CAGR)を記録することが見込まれているという。また、スマートフォンやタブレット向けOLED(有機ELディスプレイ)とフレキシブルディスプレイに対する需要の高まり、そしてスマートウェアラブルやAR(拡張現実)/VR(仮想現実)機器の急速な普及によって、アジア太平洋地域においてディスプレイメーカーの数が増えている他、ディスプレイドライバー事業は拡大しているという。
半導体ファウンドリー事業の競合先がフロントエンドとバックエンドの生産の統合にさらに注力する中、UMCは独自のパッケージング技術を構築している。
UMCのプレジデントであるSC Chien氏は、報道発表資料の中で「当社は独自のファウンドリー技術を引き続き開発しながら、戦略的なパートナーと手を組まなければならない。両社の技術的な専門知識を組み合わせ、アップストリームとダウンストリームのリソースを統合することで、顧客に高度なプロセス技術から成るソリューションやより包括的なサービスを提供することができる」と述べている。
UMCは自社について、「ドライバーICを台湾で初めて製造したメーカーだ」と説明した。また、台湾のメーカーとして初めてAMOLED(アクティブマトリックス式有機LE)ドライバーICの製造に28nmの高電圧プロセスを用いたという。現在ではプロセス能力は22nmに進化している。一方のChipbondは、ドライバーICのパッケージングとテストを手掛ける企業として、生産量と技術の面で世界最大の規模を誇る。2社は、フロントエンドとバックエンドのプロセス技術を統合し、より高い帯域幅と低電力消費のためのドライバーICを開発する計画だ。
ムーアの法則が勢いを失い、トランジスタ密度の増加が減速する中、半導体メーカーはパッケージング技術により焦点を絞り込んでいる。2021年、世界最大の半導体ファウンドリーであるTSMCは、設備投資の総予算のうち約10%に当たる280億米ドルを高度なパッケージングとマスク製造に投資する見込みであると述べた。
2020年8月、TSMCは最新の半導体パッケージング技術「3DFabric」を発表した。3Dチップ技術は、半導体設計者に、製品をチップレットのシステムとして設計する自由を提供する。
近年、UMCは、高効率パワーコンポーネントや5G(第5世代移動通信)無線周波数コンポーネントの市場機会を狙い、GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスや無線周波数コンポーネントのプロセスを開発してきた。
Chipbondは、電源部品や高周波部品のパッケージングやテストを専門に行ってきた。さらに、シリコンに加えて、GaAs(ガリウムヒ素)SiC(炭化ケイ素)、GaNなどの化合物ウエハーにも進出している。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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