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» 2022年04月04日 11時30分 公開

「それでもコロナワクチンは怖い」という方と一緒に考えたい、11の臨床課題世界を「数字」で回してみよう(69)番外編(1/9 ページ)

EE Times Japanでおなじみの「エバタ・シバタコンビ」が戻ってきました。今回は、「健康上の都合からワクチン接種に対する恐怖心がどうしても消えない」という読者、”K”さんのメールに端を発したものです。そこからシバタ医師が読み取った、コロナ後遺症への対応などを含む、11個のクリニカル・クエスチョン(臨床上の課題)をご紹介します。

[江端智一,EE Times Japan]

それは、ゴミ箱に分類されてしまった1通のメールから始まった

 母の葬儀(2022年1月10日)を終えて、姉と2人で銀行に行き、母の口座の手続きのために、順番待ちをしていた時のことです。

 持ち歩いていた「iPad」で、Gmailのゴミ箱をのぞいてみたら、そこには、スパムメールではない一通のメールが入っていました。

 それは、シバタ先生 ―― 轢断のシバタ*)先生と私で作成したコラム、「「コロナワクチン接種拒否」に寄り添うための7つの質問」を読んでいただいた読者の方からの感想と質問でした。

*)「1/100秒単位でシミュレーションした「飛び込み」は、想像を絶する苦痛と絶望に満ちていた」に出てくる、「轢断のシバタ」先生です

 私は、そのメールを読んで衝撃を受けました。その日、いろいろな手続きに銀行や役所を回っていたはずなのですが、そのことは、覚えていません。その衝撃が、あまりにも大きかったからです。

 まずは、そのメール(全文)をご覧ください。



突然のメールすみません。私は”K”と申します。

東京在住の40歳で飲食業をしており4人の子の母親です。

コロナ関連の記事から他の記事もいろいろと読ませていただいています。シバタ先生とのお話等全て読ませていただきました。大変参考になります。

あんなに詳しく紐解いていただいているのにまだわからないのかと怒られてしまうかもしれませんが…。

今回はコロナワクチンの陰謀論についての記事を読ませていただき、お聞きしたい、というか、もしまた次にワクチンについて執筆することがあれば江端先生のお考えを教えていただけると良いなという小さな勝手な希望で失礼ながらメールさせていただきました。

私は陰謀論も政府も100%どれも信じているわけではなく、ただ漠然とした恐怖を感じてワクチンを打たない、子どもにも打たせていない母親です。打たせていないことにも、打たせることにも責任を感じています。

私は2回コロナにかかりました。2回とも軽度ですが、初期の1度目の感染からずっと今まで体験したことのない、言い表せないような体の不調や発作等の後遺症に悩まされています。二度目の夏の感染をしても体調はさほど変わりませんが1年かけて徐々に回復しているとは、感じます。

「しかし、軽症では細かな血管のダメージだけで終わるので、検査に大きな異常が現れず、本人にしか機能低下が自覚できないという例もあります。そしてそれが、嗅覚障害、味覚障害、ブレインフォグや倦怠感、脱毛などの後遺症の原因となっている可能性があるのではないかと言われています*)」を読んで、とてもしっくりきました。

*)「「コロナワクチン接種拒否」に寄り添うための7つの質問」の「付録1:コロナウイルスが人の身体にダメージを与える機序について」を参照

どの科にかかっても検査していただいてもなにも異常はなく、血液の数値も基準値内ですが、明らかに自分ではいつもの健康診断の数値の10倍になっていたり、色々な今まで体験したことのない症状が体に次々に起こりました。

義父もコロナ肺炎で命を失いました。(別居であり別感染です。私から家族への感染は2度ともありません)。ですから、コロナの怖さは身を持って感じています。でもなお、ワクチンを打ちたいと思えません。ただただ、怖いのです。

子どもが打った後に死んでしまったら。私がこの後遺症の状態でワクチンを打って突然死してしまったら。

と考えてなかなか決断出来ません。

なんども予約を入れては早々にキャンセルをしてしまう状態です。

周りの人でワクチンを打って亡くなった方はいませんし、皆元気です。打ったほうが良いのも頭ではわかっています(ちなみに、私は2回かかったのでワクチンの必要はないと二つのかかりつけの先生、どちらにも言われました)。

子供のワクチン、自分へのワクチンについても色々な病院で医師に相談しましたが、私は打ちましたよー、大丈夫ですよー、副反応はこうですよーなどの返事ばかりです。「それなら打とう!」という確信が得られる答えがいただけず、ずっと悩んでいます。

打たなくてよい理由もいまいち分からないです。

2度罹患した人とワクチンを打った人との免疫の構造の違いがあるのか知りたいです。

調べても、2回ワクチン3回ワクチンのようなヒットばかりで、どれも副反応のことやワクチンの仕組みのような記事ばかりで、私の読みたい記事が見つかりません。

もし次にコロナワクチン関連の記事を書くことがありましたら、ワクチン接種者と罹患したことのある人の免疫の違い、変異型へのワクチンの納得の出来る有効性を教えていただけたらと思いメッセージを送ってしまいました。

この事に対して納得が出来れば私は子供にワクチンを打たせられると思うのです。両親や友達、主人のワクチン接種は済んでいます。

突然のメッセージですみません。

これからも江端先生のお話を楽しく読ませていただきます。

体に気をつけて頑張ってください。

“K”



 2度のコロナ感染を経験し、お義父様がコロナ肺炎でご逝去されていて、なお、「ワクチン接種」を選べない「恐怖」って ―― どんな恐怖?

 これまで、シバタ先生と共著で、新型コロナウイルスとワクチンについて、7回のコラムを寄稿してきました。その内容は、「読者に、新型コロナのワクチン接種への恐怖を少なくするものだ」という自信もありました(実際に、そのように考えていただいた読者の方もいらっしゃったようです)。

 しかし、”K”さんからいただいた上記のメールは、私のそのような自信を、根底から崩れさせるものになりました。

 数値やデータを使って、議論(論破)することができても、そのようなものを越えたところにある「もっと大切な何か」に、アプローチすることができていない、と自覚するに至りました。

 つまり、

―― 私は、ワクチン接種の恐怖におびえる人の「本当の恐怖」を、理解できていない

ということです。



 こんにちは、江端智一です。今回は、この”K”さんのメールに端を発して、現在に至るまでの経緯を、時間軸に沿ってご紹介していきたいと思います。

 前編は、”K”さんの新型ワクチン接種に対する恐怖を理解するためのアプローチ、具体的には、”K”さんの環境や過去の体験などを踏まえて、その恐怖の背景や理由を明らかにしていきたいと思います。

 中編は、私から”K”さんへの質問、「ワクチン陰謀論」「世間の圧力」等について、”K”さんの個人的な見解をお伺いしたQ&Aを開示いたします。

 さらに後編では、”K”さんから発せられた疑問、いわゆる「コロナ後遺症の対策」「コロナワクチンとアレルギー反応」等を、シバタ先生が詳細に解説します。

 最後に、”K”さんと、私たち(シバタ先生と私)の間に隔たる、「ワクチン接種への恐怖」に関する意識の違いが発生するプロセスについて、シバタ先生の見解を開示いたします。

 本メールは、江端ファイアウォールの元でメールの交換が行われました。私(江端)は”K”さんのお名前、住所、具体的な職業、その他、一切知りません(知っているのはメールアドレスだけです)。シバタ先生についても、お名前くらいは存じておりますが、それ以外のことは知りません。

 ですので、”K”さん、シバタ先生について、江端への問い合わせはもちろん、江端を拉致拷問しても無駄です。本当に知らないからです。本件、なにとぞご了承下さい。

 なお、本コラムで登場する文章の開示に関しましては、”K”さん、シバタ先生の御両人より、編集権も含めた全面的な開示のご許諾をいただいております。

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