――Y7棟は、AI(人工知能)を活用し高度に自動化したスマートファクトリーということだが、どういったAI技術を活用しているのか。リソグラフィなど、工程面でのチャレンジはあるか。
早坂氏 工場内で活用しているAI技術については公表が難しいが、日々進化しているAIで製品を製造しているとだけ、申し上げたい。
リソグラフィーについては、次世代技術として、ナノインプリント(NIL)技術の研究開発を引き続き行っている。ただし、大規模量産に適用できるまでには至っていない。EUV(極端紫外線)リソグラフィーを導入しているメーカーもあるが、キオクシアとしては今のところ導入は考えていない。
――現在、四日市工場と北上工場(岩手県北上市)で96層や112層の3D NANDフラッシュなどを製造しているが、Y7棟で162層NANDフラッシュの製造を開始した後、製品ミックスはどうなっていくのか。
早坂氏 製品ミックスについては詳細はお伝えできないが、市況を見ながら調整をかけていく。
――Y7棟と、現在稼働中の北上工場「K1棟」との大きな違いは何か。
松下智治氏 Y7棟がK1棟よりも進化している点は、設備や装置を多く設置できること、そしてK1よりも省エネが進んでいることの2点が挙げられる。
――Micron Technologyが232層、Samsung Electronicsが176層のNANDフラッシュの量産を既に開始している。キオクシアのロードマップについて教えてほしい。
早坂氏 当社に限らず、NANDフラッシュの大まかな技術ロードマップとしては、層数を増やしていくというのがあと数世代は続いていくだろう。ただ、層数をどのように増やしていくかは各社の戦略が異なるところだ。当社としては、ひたすら層数を増やすことが目的ではない。顧客からは価格面での要求が強く、それに応えるためには価格の他にも性能やスピードも考慮しながら、層数も含めた次世代3D NANDフラッシュ技術の方向性を決めていく必要がある。
――円安の影響は。
早坂氏 具体的な数値としては、まだ公表できないが、プラスの影響はある。
――上場の時期については。
早坂氏 適切な時期を見極めて上場するという方針は変わっていない。
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