Infineon Technologiesが、超広帯域無線(UWB)用の低電力チップを手掛けるスイスの3db Accessを買収した。Infineonは、「この買収により、当社はセキュアなスマートアクセス、正確なローカライゼーション、高度なセンシングのためのポートフォリオをさらに強化することになる」などと述べている。買収額は公表していない。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2023年10月4日(ドイツ時間)、超広帯域無線(UWB)用の低電力チップを手掛けるスイスの3db Access(以下、3db)を買収したと発表した。Infineonは、「この買収により、当社はセキュアなスマートアクセス、正確なローカライゼーション、高度なセンシングのためのポートフォリオをさらに強化することになる」などと述べている。買収額は公表していない。
3dbはスイス・チューリッヒ工科大学のスピンオフ企業として2013年に設立された新興企業で、セキュアで超低消費電力、高精度の統合型UWB測位およびセンシングソリューションに特化した、ファブレス半導体メーカーだ。Infineonは3dbについて、「セキュアなUWBテクノロジーの『パイオニア』だ」と説明。3dbは既に複数の主要な自動車ブランドにIP(Intellectual Property)プロバイダーとして選定されているという。2020年2月には、ルネサス エレクトロニクスも3dbとの協業について発表している。
市場調査会社ABI Researchによれば、UWBチップセット市場は今後、年平均成長率(CAGR)13%の成長をみせ、2028年には約31億米ドルに達する見込みだという。Infineonは、超広帯域技術における3dbの専門知識を獲得したことで、セキュアなコネクテッドデバイスの市場におけるIoT(モノのインターネット)ロードマップを加速していく方針。具体的には、InfineonのWi-Fi、Bluetooth/Bluetooth Low EnergyおよびNFCソリューションを含むコネクティビティ製品群に、UWBが追加されることになる。Infineonは、最初のIoTユースケースとして、セキュアなアクセスと認証、正確な位置追跡と屋内ナビゲーション、UWBレーダー実装を利用した存在検知などを挙げている。
Infineonのコネクテッドセキュアシステムズ事業部プレジデント、Thomas Rosteck氏は、「両社の強みを組み合わせることで、自動車、産業、消費者向けのさらなるIoTアプリケーションに対応するUWBが展開できるようになる。われわれは、低消費電力、強化された物理層セキュリティ、機能豊富なRFフロントエンド構成、ローカライゼーションに最適化されたハードウェアアーキテクチャを組み合わせたユニークな機能を持つフルシステムソリューションを作り上げていく」と述べている。
3dbの共同設立者兼CEO(最高経営責任者)、Boris Danev氏は、「スマートフォンメーカーが最新世代や将来の製品にUWB機能を追加する中、UWB対応デバイスの需要は大幅に拡大すると予想される。われわれのミッションは、スマホや自動車にこの技術の利点をもたらし、低消費電力IoTデバイスをスタンドアロンで統合できるようにすることだ。Infineonの一員として、主要なIoTおよび車載アプリケーション向けに、セキュアなローカライゼーションとセンシング機能の拡充に取り組んでいく」とコメントしている。
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