今回新たにラインアップに追加したのが、モーター制御に特化したRA8T1だ。CoreMark/MHzスコアはおよそ6.3とRA8M1/RA8D1と同等で、「業界最高クラスの性能」(ルネサス)を実現しているとする。
RA8T1は、最大2Mバイト のフラッシュメモリや、1MバイトのSRAM、PWM(パルス幅変調)タイマーなどを集積していることから外付け部品を削減でき、コストや実装スペースを抑えることができる。
同製品は最大480MHzで動作するほか、128KバイトのTCM(Tightly Coupled Memory)も搭載しているため、高精度/高速なモーター制御が可能になり、モーター駆動電力を高効率化できる。また、モーター制御に必要なCPUのリソースを削減した分、AIによる故障予知/検知といった他の機能の追加も容易になり、エンドユーザーに向けた付加価値を提供できるという。
12ビットA-Dコンバーターユニットでは電流検出の3チャネル同時サンプリングが行える。1チャネルのみ検出する場合は三相モーターの各相のデータ取得を順に行うため時間差ができてしまい、ソフトウェア上で補正する必要がある。一方、3チャネル同時サンプリングであれば各相のデータを同時に取得でき、時間差の補正の必要がないため、ソフトウェアを簡略化できる。
用途としては産業オートメーションやビルディングオートメーションに加え、ハイエンドの洗濯機などのスマート家電製品も想定する。モーターとシステム、複数のモーターというように複数用途の制御を1チップで行えることから、部品点数の削減や省配線につながるという。
ルネサスは今後のRA8シリーズのラインアップについて、さらに高性能/多機能な製品や、エントリーモデルとして機能を限定してコストを抑えた製品の拡充を検討している。
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