東芝は、リチウムイオン二次電池「SCiB」セルを用いた「鉄道車両向けハイパワーバッテリーモジュール」を新たに開発した。従来に比べ約3倍という高出力で充放電が行えるため、回生エネルギーを効率よく蓄電し、有効に活用することが可能となる。
東芝は2025年11月、リチウムイオン二次電池「SCiB」セルを用いた「鉄道車両向けハイパワーバッテリーモジュール」を新たに開発したと発表した。従来に比べ約3倍という高出力で充放電が行えるため、回生エネルギーを効率よく蓄電し、有効に活用することが可能となる。
列車のブレーキ作動時には、隣接する走行加速中の列車で利用できる回生エネルギーが発生する。ところが、近くに回生エネルギーを必要とする列車がいなければ、熱として浪費されるという。
東芝は、回生エネルギーを蓄電して、「退避運転」や「加速走行」などに有効活用できる鉄道車両向けシステムを開発し、直流600V架線区間に提供している。ところが国内の直流電化区間の90%以上は直流1500V架線だという。
そこで今回、高電圧下での絶縁機能を強化し、直流1500V架線に対して直結できるモジュールを開発した。回路構成を簡素化できるため装置を小型化できる。これにより車両の軽量化につながり、消費電力量の削減が可能となる。同時に放熱性能も高めた。床板にアルミニウムを用いた独自の床面構造により、高出力での充放電に伴うセル発熱を効率よく逃がすことができる。
新たに開発したモジュールには、内部抵抗が小さく高出力での充放電を行っても損失と発熱が小さいハイパワー型SCiBセル「20Ah-HPセル」を採用した。このセルは長寿命で高い安全性、-30℃の体温環境下で動作、といった特長を備えている。
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