産業技術総合研究所(産総研)とイーディーピーは、ダイヤモンドデバイス製造に向け、大面積のダイヤモンド/シリコン複合ウエハーを開発した。多数の小さなダイヤモンドをシリコンウエハー上に1200℃という高温で接合すれば熱ひずみを抑えられ、汎用の露光装置を用いて微細加工が可能なことを実証した。
産業技術総合研究所(産総研)とイーディーピーは2026年2月、ダイヤモンドデバイス製造に向け、大面積のダイヤモンド/シリコン複合ウエハーを開発したと発表した。多数の小さなダイヤモンドをシリコンウエハー上に1200℃という高温で接合すれば熱ひずみを抑えられ、汎用の露光装置を用いて微細加工が可能なことを実証した。
ダイヤモンドは半導体デバイスとして優れた特性を持つ。ただ、量産化に向けては大面積のダイヤモンドウエハーを用意する必要がある。そこで研究グループは、面積が小さいダイヤモンドウエハーを、大面積のシリコンウエハー上に複数個貼り付けることで、実質的にダイヤモンドデバイス用の大面積ウエハーを実現することにした。
同種基板を接合する場合、1000℃を超える高温で行うと、界面の耐性が向上し表面粗さへの要求が低く高い歩留まりが得られることが分かっている。ところが、異種材料の接合だと、熱膨張量の差で熱ひずみが増大し、反りや割れが生じるという問題があった。
研究グループは今回、ダイヤモンドとシリコンの熱膨張係数が約600℃で逆転することに注目した。そして、高温で接合するほどダイヤモンド/シリコン接合体を常温に戻した時に熱収縮量の差が小さくなり、残留応力による反り(熱反り)が減少することに着目した。
実験の結果、12mm角のダイヤモンドウエハーと直径2インチのシリコンウエハーを1000℃で接合したところ、熱ひずみが大きく凸状に反り、基板の高低差は27μmとなった。これだと、露光装置で微細な描画を行っても、面積の30%程度しか活用できないという。これに対し1200℃で接合すると、熱ひずみが抑えられ高低差は9μmとなった。このウエハーを用いれば、10mm角という描画領域の95%に1μm幅のラインアンドスペースパターンが作製できることを実証した。
さらに、高温接合したことで表面粗さ0.9nmのダイヤモンド基板であっても、強固な接合が得られたという。ダイヤモンドとシリコンの接合界面は、約5nmの非晶質層を介して緻密な接合が形成されていることを確認した。シリコンを破壊する衝撃を与えても、端部以外で剥がれは確認できなかった。半導体製造プロセスに用いられる各種洗浄液や現像液で化学処理を行っても、剥がれはなかったという。
今回の研究成果は、産総研ハイブリッド機能集積研究部門の松前貴司主任研究員や高木秀樹首席研究員、倉島優一研究グループ長、先進パワーエレクトロニクス研究センターの山田英明研究チーム長、梅沢仁上級主任研究員および、イーディーピーの古橋匡幸開発部長、桃谷桂子開発部員、藤森直治社長らによるものである。
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