ルネサス エレクトロニクスは、2010年4月の統合後、5つのマイコンコアを併存すると表明している。2010年10月、マイコンの製造コストを抑え、顧客のソフトウエア資産を守るため、複数の戦略を発表した。
マイコンの製造コスト低減のために、マイコン周辺回路の共通化を進める。新規のマイコン製品の開発期間短縮を、従来の2/3に短縮できるという。具体的には、ルネサス テクノロジとNECエレクトロニクスがそれぞれ利用していた開発プラットフォームを持ち寄り、「MCU設計プラットフォーム」としてまとめた。コアと内蔵メモリ、周辺機能部品を選ぶだけでマイコン製品が完成する仕組みである。ただし、コアやメモリなどを製造技術の世代ごとに最適化し、あらかじめ同社内で検証を施しておく必要がある。
ソフトウエア資産を守る方策も複数講じる。まず、マイコン上で動作するソフトウエアをユーザー企業が開発する際の負担を減らす。マイコンが異なっても同一の統合開発環境(IDE)を利用できるほか、デバイスドライバソフトウエアも共通化する(図A)。
「当社は開発環境やドライバソフトウエア、各種共通周辺IPを提供することで、どのマイコンを利用しても同じソフトウエアが利用できるようにする。ARMコアを採用しているマイコンメーカーは多数あるが、当社のように同一のツール、同一のIPが使えるようにはなっていないため、ソフトウエアの共通化は難しいだろう」(同社)。(畑陽一郎)
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