NTTドコモなど4社は、GSM、W-CDMA、HSPA+、LTEという4種類の携帯電話通信方式の通信制御を1チップで行えるベースバンドICを開発した。同ICは、2012年3月設立予定のベースバンドICの合弁会社を通じて国内外に販売する方針だ。
NTTドコモ、NEC、パナソニック モバイルコミュニケーションズ、富士通の4社は2012年2月24日、GSM、W-CDMA、HSPA+、LTEという4種類の携帯電話通信方式(4方式)に対応した通信制御を1チップで処理できるベースバンドICを開発したと発表した。また、同ICのエンジニアリングサンプルを用いて、主要ネットワークベンダーとの接続に必要な評価試験を全て完了したという。
現在、4方式に対応した携帯電話機を開発するためには、GSMに対応したベースバンドICと、W-CDMA、HSPA+、LTEに対応したベースバンドICをそれぞれ搭載するのが一般的である。また、4方式に対応するベースバンドICも存在するが、パッケージサイズが大きいことが課題となっている。
今回開発したベースバンドICは、1チップで4方式に対応するとともに、大幅な小型化を実現している。パッケージの外形寸法は1cm角を少し上回る程度である。また、2チップ構成の場合と比べて、通信時や待ち受け時の消費電力を最大で20%低減したという。また、どの方式であっても3GPPの標準規格に準拠した通信が可能である。さらに、LTEについては、NTTドコモが採用しているFDD方式の他、中国などで採用される予定のTDD方式にも対応している。
4社は、このベースバンドICを採用することで、携帯電話機の小型化や低コスト化を実現し、優位性のある製品開発につなげたい考え。また、4社と富士通セミコンダクター、Samsung Electronicsが2012年3月の設立を予定している合弁会社(関連記事)を通じて、国内外に拡販する方針だ。さらに、LTE-Advancedに対応する機能拡張も検討しているという。
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