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スマホ市場でのシェア拡大を狙うMediaTek、カギは中国メーカーとの連携強化ビジネスニュース

台湾の半導体ベンダーであるMediaTekは近年、中国の携帯電話機メーカーとの関係を強化している。MediaTekは、「当社は、次世代スマートフォンの担い手になると自負している」と述べる。

» 2012年03月14日 12時50分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

 MediaTekのプレジデントを務めるChing-Jiang Hsieh氏は、スペインのバルセロナで開催されたモバイル通信機器の国際展示会「Mobile World Congress(MWC) 2012」(2012年2月27日〜3月1日)でEE Times誌の取材に応じ、「当社は、2012年の携帯電話機向けチップセットの売り上げ目標を、昨年から1000万個増となる5000万個に設定している。フィーチャーフォンの市場は、2011年は横ばい状態だったが、2012年には初めて下降に転じる見通しだ。これは、裏を返せば、スマートフォンの成長を意味している」と語った。

 この意見には、市場専門家も同意している。米国の市場調査会社であるThe Linley Groupで主席アナリストを務めるLinley Gwennap氏は、「2014年にはスマートフォンの出荷台数は6億台に上ると予測される。その半分を低価格モデルが占め、それらによってフィーチャーフォンの置き換えが進むとみられる。アプリケーションプロセッサとベースバンド処理回路を混載したチップは、2010年には携帯電話機の40%に搭載されていたが、2014年にはその割合は70%に拡大するだろう」と述べている。

Ching-Jiang Hsieh氏

 また、米国の市場調査会社であるStrategy Analyticsは、「中国は2011年第3四半期に、米国を追い越し世界最大のスマートフォン市場となったが、その主な要因は、中国の携帯電話事業者が160米ドル以下の低価格モデルを大量に購入したことにある。これにより、中国のスマートフォン市場は急速に成長した」と分析している。

 しかし、MediaTekが、加速する中国のスマートフォン市場をリードできるかどうかは疑問だ。同社は、中国のファブレス半導体企業で近年著しい成長を遂げているSpreadtrum Communicationsと、同市場のシェアを争っている。

 Spreadtrumは2012年1月、MediaTekと同様に、100〜160米ドルの価格帯のスマートフォン向けにARMの「Cortex-A9」を搭載したGHzクラスのアプリケーションプロセッサをリリースした。さらに、スマートフォン向けチップ大手のQualcommも、スマートフォン向けアプリケーションプロセッサへの注力を強化している。

 Hsieh氏は、「当社の強みは、スマートフォンへの移行をけん引する中国の携帯電話機メーカーに精通し、彼らとの関係を構築していることにある」と語る。MediaTekの携帯電話機事業の40%は、中国の携帯電話機メーカートップ4であるHuawei、Lenovo、TCL、ZTE向けである。残る60%は、それ以外の100社に上る顧客企業向けとなっている。

 中国の大手携帯電話機メーカー4社は、中国国内向けだけでなく、海外向けにも製品を展開している。MediaTekは、これらの企業のローエンドからミドルエンドまでの製品向けにチップを提供し、迅速な海外展開を支えている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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