半導体市場は、今後数年間にわたり堅調な伸びを示すようだ。iSuppliは、成長を後押しする主な要因としてスマートフォンとタブレット端末を挙げているが、「Windows 8」が登場して「Ultrabook」の普及が進めば、2013年には、Ultrabookが半導体市場をけん引する可能性もあると指摘する。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliは4月25日、携帯電話機やタブレット端末といった無線製品に対する消費者の需要が引き続き高いことを理由に、2012年の半導体市場予測を上方修正した。
修正後の予測では、2012年の半導体の世界売上高は、前年比4.3%増となる3246億米ドルに達すると見込まれている。IHS iSuppliは当初、前年比の増加率を3.3%と予測していた。
一方、市場調査会社であるGartnerも2012年3月に、2012年の半導体市場予測を上方修正している。修正後の予測では、2012年の世界半導体売上高は、前年比4%増となる3160億米ドルと見込まれている。
IHS iSuppliの最新の予測によると、予期せぬ経済不況や半導体業界における重大な失敗などがない限り、半導体の売上高は今後数年間にわたって増加し続け、2016年には約4128億米ドルに達する見込みだという。
IHS iSuppliの半導体製造部門でディレクタ兼チーフアナリストを務めるLen Jelinek氏は、「消費者が世界経済の回復を身をもって感じ始めていることから、2012年の半導体売上高は上昇が見込まれる」と述べた。
Jelinek氏は、2012年に半導体需要の増加を最もけん引するのは、スマートフォンやタブレット端末などの民生用機器であるとした。また、同氏は、Appleの「iPhone」や「iPad」の他、それらの競合製品も、半導体売上高の増加を後押しすると述べている。「特に、半導体サプライヤは2012年第3四半期、セルスルー(販売台数)が増加するホリデーシーズンを前に、ひときわ堅調な売り上げを期待できるだろう」(Jelinek氏)。
IHS iSuppliは、Intelが提唱する超薄型ノートPC「Ultrabook」については、「2012年の半導体売上高に最低限の影響しか与えない」と予測した。ただし、Microsoftの「Windows 8」の登場により、2013年にはUltrabookが半導体売上高の増加をけん引する主な要因となる可能性もあるとしている。Windows 8は、Windows OSとして初めてタッチスクリーンに対応するバージョンで、発表が間近に迫っている。
IHS iSuppliは、NAND型フラッシュメモリ、ASIC、マイクロプロセッサの3つの分野が、2012年に最も成長すると予測している。特に、NANDフラッシュとASICの市場は、スマートフォン/タブレット端末の売上高の増加によって堅調な伸びを示すとみている。マイクロプロセッサ市場の成長は、Ultrabookの普及などが後押しするという。
一方、IHS iSuppliは、各半導体サプライヤが過去6カ月間で在庫を7.5%下げたにもかかわらず、在庫水準がいまだに高いことについて懸念を示している。需要を持続させるには、在庫をさらに減らすことが必須である。IHS iSuppliは、「各企業は2012年前半、在庫の削減を目指して在庫水準を継続的に監視していく必要がある」と指摘している。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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