2012年2月に会社更生法の適用を申請して以来、スポンサーの獲得に奔走してきたエルピーダメモリ。Micron Technologyがスポンサー候補として内定した後も、状況が二転三転しているとのうわさが流れたが、最終的にはMicronがエルピーダを買収することで落ち着いたようだ。
米国の半導体メモリ大手のMicron Technologyは2012年7月2日、エルピーダメモリの買収および支援を目的とするスポンサー契約に調印したことを発表した。買収総額は2000億円(約25億米ドル)である。また、Micronは、台湾の半導体メーカーであるPowerchip Technologyから、Rexchip Electronicsの株式の24%を約3億3400万米ドルで取得することも併せて発表した。
エルピーダはRexchipの株式の65%を所有しており、エルピーダとRexchipの生産能力を合わせると、300mmウエハー換算で1カ月当たり20万枚以上の処理が可能だ。Micronは今回の買収契約によって、生産能力を約50%増強することになる。なお、エルピーダは現在、東京地方裁判所の管轄下で会社更生法の手続きに入っている。
今回の契約の履行には、エルピーダの債権者と東京地方裁判所、各国の競争当局による承認が必要となる。現時点では、エルピーダの更生計画は2012年8月に東京地方裁判所へ提出される予定となっており、2013年前半に契約が完了する見込みである。なお、Micronは、このスポンサー契約が完了次第、Powerchipが所有するRexchipの株式を取得する予定だという。
Micronは同契約の下、エルピーダの全株式を現金600億円(約7億5000万米ドル)で取得する。さらに、エルピーダはMicronの子会社として、Micronから製造を請け負い、Micronはその対価として、2019年までに年払い方式で1400億円(約17億5000万米ドル)をエルピーダに支払う。エルピーダは、Micronから受け取ったこれらの資金を、債権者に対する担保付/無担保負債の弁済に充てる。
また、Micronは契約条件に基づき、エルピーダの設備投資に対する資金提供を行い、エルピーダの工場と従業員の雇用を存続させる。
Micronは、エルピーダのスポンサー契約の発表と併せて、PowerchipからRexchipの株式の24%を100億ニュー台湾ドル(約3億3400万米ドル)で取得することも発表した。エルピーダが所有する65%のRexchip株を合わせると、MicronはRexchipの株式の89%を取得することになる。
エルピーダは、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器向けDRAMに強い。一方、Micronは、PCやサーバ向けなどのエンタープライズ向けDRAM製品を得意とする他、NAND型フラッシュメモリやNOR型フラッシュメモリなどの不揮発性メモリも手掛けている。
MicronのCEO(最高経営責任者)であるMark Durcan氏は、発表資料の中で「われわれは、業界をリードするメモリ専業会社をつくっていく」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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