Micronは、25億米ドルでエルピーダを買収することを正式に発表したが、エルピーダの社債権者グループにとって、この買収金額は不服だったようだ。
経営破綻したエルピーダメモリの社債権者グループは、Micron Technologyが提示した25億米ドルの買収金額に対し、否認する構えを見せているという。複数のメディアが、東京地方裁判所に提出された訴状を元に報じている。
ロイター通信が2012年7月10日の火曜日(米国時間)に報じたところによると、社債権者グループは、Micron Technologyが示した買収額に対して代替案を提示する予定だと述べているという。
ロイター通信によると、その代替案については、エルピーダメモリの債権者による投票を実施する前に、まず裁判所の承認を得る必要があるという。Micron Technologyが既に調印した契約に対して、債権者グループがそれを無効にできるだけの十分な票を確保できるかどうかは今のところ不明だ。
Micron Technologyは2012年7月2日に、エルピーダメモリの買収および支援を目的とするスポンサー契約に正式に調印した。買収総額は25億米ドルだ。Micron Technologyはこの契約に基づき、7億5000万米ドルを支払ってエルピーダメモリの資産を取得する。残りの17億5000万米ドルに関しては、エルピーダメモリの有担保債および無担保債の保有者に対して、今後7年間にわたり年払いで支払う予定だとされている。エルピーダメモリがMicron Technologyの子会社としてファウンドリサービスを提供し、Micron Technologyがそのサービスに対して支払いを行うことでキャッシュフローが発生する。それを今後の支払いに充てていく予定だという。
英国の投資銀行であるBarclays Capitalのアナリストを務めるC.J. Muse氏は、火曜日に発表したリポートの中で、「今回の契約では、エルピーダメモリの債権者が負った債務の大半を埋め合わせるには不十分であることから、債権者の一部が不満を持つのも不思議ではない」と述べている。しかしMuse氏によると、Barclays Capitalの見解としては、無担保債の保有者が今回の契約に対して影響を及ぼす危険性はほとんどないとみているという。
Muse氏によると、今回の報道を受けて、火曜日のMicron Technologyの株価は約6%下落して1株当たり6.09米ドルになったという。しかし同氏は、「懸念に対する過剰な反応にすぎない」と述べる。
また同氏は、「無担保債の保有者が今回のような行動に出るのは、ごく普通のことだ。Micron Technologyによると、こうした債権者の中には、エルピーダメモリが2012年2月に会社更生法の適用を申請した後で社債を購入した人々が含まれている」と付け加えた。
Micron Technologyの広報担当者は、「すぐにコメントはできない」としている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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