民生機器に対する需要低迷といった要因から、2012年の半導体売上高は、前年比で0.1%減少する見込みだという。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliは2012年8月24日に、2012年の世界半導体市場の売上高予測を下方修正し、2011年比でわずかに減少する見込みであると発表した。
同社によると、世界経済の低迷に伴い、PCをはじめとする民生機器に対する需要が減少していることから、2012年の世界半導体売上高は、2011年比で0.1%減少する見込みだという。今回の予測値は、同社が四半期ごとに発表している市場動向リポート「Application Market Forecast Tool(AMFT)」の暫定的な集計結果に基づいたものだ。
IHS iSuppliの以前の予測では、2012年の世界半導体市場の成長率は3%未満になるとされていた。
今回の予測値が的中した場合、2012年の世界半導体市場は、2009年以降、初めてマイナス成長を記録することになる。
IHS iSuppliでシニアディレクタを務めるDale Ford氏は、「2012年の世界半導体市場が減速するという予測結果は、業界にとって一大事だ」と述べている。
半導体関連の市場調査会社であるIC InsightsやSemico Research、Future Horizonsなどは、ここ数週間の間に、2012年の世界半導体市場の売上高予測を相次いで下方修正した。アナリストの多くは、2012年の世界半導体売上高について、2011年から横ばいの状態になると予測している。また、ベテランの半導体市場アナリストであるMike Cowan氏や、市場調査会社であるSemiconductor Intelligenceなどは、2012年の世界半導体市場が縮小するとみている。一方で、著名な市場専門家の中には、2〜8%の成長を遂げるとする見方もあるようだ。
IHS iSuppliのFord氏によると、「2011年の民生機器市場が大幅に低迷していたが、当社は、2011年の半導体売上高が減少するとは予測していなかった」という。しかし、2012年第2四半期の結果は振るわず、さらに同年第3四半期も世界経済の低迷によって減速が見込まれることから、IHS iSuppliは、わずかながら下方修正するに至ったようだ。
IHS iSuppliによると、2012年第1四半期の世界半導体売上高は、通常の季節的な傾向もあり、2011年第4四半期に比べて3.6%減少したという。また、2012年第2四半期の半導体売上高は、前期比でわずか3%の増加にとどまり、例年に比べて増加幅が極めて少ない結果となった。
半導体業界が2012年に、2011年よりも力強い成長を実現するためには、2012年第2四半期の成長率が、同年前期比で少なくとも4%を上回る必要があるという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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