伸び悩んでいた超薄型ノートPC市場だが、今後は低価格化が徐々に進み、成長が加速すると期待されている。一部の機器メーカーが、要件の厳しい“Ultrabook”ではなく、単に“超薄型ノートPC”として製品を展開しようとしていることも、追い風になりそうだ。
最新の市場調査結果によると、超薄型ノートPCの出荷数量は、今後3年間で急激に増加する見込みだという。タブレット端末の成功の影響を受け、機器メーカーは今後、タブレット端末で最も人気が高い一部の機能を、類似したフォームファクタとして既存のノートPCに取り入れていくとみられる。
米国の市場調査会社であるNPD DisplaySearchによると、2011年における超薄型ノートPCの出荷台数は340万台だったが、2015年までには6500万台に達し、モバイルPC市場に占めるシェアは25%に増加する見込みだという。
NPD DisplaySearchによれば、超薄型PCの販売台数は、これまで伸び悩んできた。その要因としては、価格帯が高いことや、一般的なノートPCとの差別化が不十分であることなどが挙げられるという。しかし、今後は価格が徐々に低下し、新型PC向けの新しいプロセッサが投入される見込みであることから、2013年には出荷数が増えると予測されている。
超薄型PCのカテゴリーには、Intelが推進しているUltrabookをはじめ、画面サイズが小さい薄型フォームファクタなど、さまざまな種類のPCが含まれる。NPD DisplaySearchは、超薄型PCの仕様を、「画面サイズが最大で14インチ、厚さが18mm未満」と定義している。UltrabookやAppleの「MacBook Pro」がこれに該当する。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliは2012年10月、2012年におけるUltrabookの売上高予測を下方修正した(関連記事:「Ultrabookは思ったほど売れてない?」)。その要因として、価格帯の高さと効果的なマーケティングが不十分だったことなどを挙げている。また、一部の機器メーカーは、IntelがUltrabookに定めている厳しい要件を避けるため、“Ultrabook”として販売していたノートPCを、“超薄型PC”に変更して再び売り出す動きを見せているという。
NPD DisplaySearchによると、消費者の好みは、従来型のノートPCから、コンテンツへのアクセスや使い方が容易な利便性の高いモバイルPCへと移行しているという。こうした傾向は、タブレット端末の出荷台数が増大していることから見ても明らかだ。2016年までには、タブレット端末の出荷台数がノートPCを上回る見込みだという。こうした状況に対応すべく、ノートPCメーカー各社は、タブレット端末の機能のうち、消費者からの評価が最も高いものをノートPCに採用しようとしている。
NPD DisplaySearchでシニアアナリストを務めるRichard Shim氏は、発表資料の中で、「タブレット端末は、消費者が長年にわたりノートPC市場に対して求めてきた、起動の速さや電池寿命の長さ、洗練されたデザインなどを全て実現している。タブレット端末のこのような特性が、コンテンツ/サービスへのアクセス性の高さを実現している。超薄型ノートPCは、ノートPC市場がタブレット端末の台頭に対応するために、そして性能と利便性のバランスを保つために、生み出されたものだ」と語った。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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