市場調査会社がUltrabookの売上高予測を下方修正した。売り上げが伸びにくい原因の1つは、1000米ドル前後という価格にあるという。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、超薄型/低消費電力のノートPC「Ultrabook」の販売台数が、以前の予測を下回る見込みだという。その要因として、価格帯が高いことや、効果的なマーケティングが不十分だったことなどを挙げる。このため、同社は今回、2012年のUltrabookの販売台数予測を下方修正した。
IHS iSuppliは以前に、2012年におけるUltrabookの出荷数を2200万台と予測していたが、今回それを1030万台に下方修正する。この1030万台のうち半分以上が、同年第4四半期に出荷される見込みだという。
Ultrabookは、低消費電力のハイエンドなノートPCでありながら、広く普及するには至っていない。その主な要因は、販売価格が1000米ドル前後と高いためだ。Ultrabookは、指定された速度と性能の向上を実現するために、既存のHDDに比べてはるかにコストが高いSSDを搭載している。
今回、Ultrabookの販売数予測が下方修正されたことは、Ultrabookのコンセプトの提唱者であり、そのマーケティングに膨大な投資を行ったIntelにとっては、多少なりとも痛手になるとみられる。同社のプレジデント兼CEO(最高経営責任者)であるPaul Otellini氏は、2012年4月に、「Ultrabookは間もなく、699米ドル程度の売れ筋の価格帯を実現できる」と予測していた。しかし、その699米ドルという価格でさえ、メディアタブレットをはじめとする前途有望なモバイル機器があふれる中で普及を狙うには高すぎるだろう。
IHS iSuppliでコンピュータプラットフォーム部門のシニア主席アナリストを務めるCraig Stice氏は、発表資料の中で、「Ultrabookを売れ筋製品として前面に押し出すためには、Ultrabookの市場を熱狂的に盛り上げる必要がある。PC業界はそれができていない」と述べている。
Stice氏は、「かつてDellには、『Dude you're getting a Dell』という誰もが知っている有名なキャッチフレーズがあった。ところが現在、Ultrabookを含むPCの新製品のキャッチコピーとして思い浮かぶものは何もない」と述べる。
またIHS iSuppliは、2013年のUltrabookの出荷数について、2012年の4倍を上回る4400万台と予測している。しかし、以前の予測では6100万台としていたことから、これについても下方修正したことになる。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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