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中国TD-LTE市場で成功するか? 仏の4Gチップメーカービジネスニュース オピニオン(2/2 ページ)

» 2012年12月07日 13時04分 公開
[Junko Yoshida,EE Times]
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 Sequans Communicationsは2012年12月、中国で行われる大規模なTD-LTE技術の実地試験向けに、チップを提供すると発表した。

 Sequans Communicationsは、時分割複信(TDD:Time Division Duplex)方式と周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)方式の両方に対応したチップの開発を手掛けている。同社は2012年に入ってから、中国のRFチップベンダーであるNationz Technologiesと共同開発を行っている。

 また、Sequans Communicationsは、中国のクラウドコンピューティングのサービスプロバイダであるPrimemobiとも提携している。Primemobiは、3Gルータや3Gゲートウェイのほか、3G以外の無線ゲートウェイなどのシステム開発を手掛ける最先端インテグレータである。

 中国で適切なパートナー企業を獲得できたことで、Sequans CommunicationsはTD-LTE市場で半分勝利したようなものだと言える。残りの半分は、Nationz Technologies、Primemobiとの共同開発が、どれだけうまくいくかにかかっているだろう。Sequans Communicationsの動きを追う中で、筆者は1つの疑問を抱いた。

 欧州の他の半導体メーカーは、なぜ、中国のTD-LTE市場に参入しようとしないのだろうか。

 Sequans Communicationsは、長期にわたる審査を経て、China Mobileの契約を勝ち取った。この審査は、China Mobileと中国の産業情報技術部(Ministry of Industry and Information Technology)が実施するもので、数多くの国際的な大手半導体メーカーが厳しい技術審査に苦しんでいるという。Sequans Communicationsは2010年からChina Mobileと提携しており、2011年に開始された大規模な商用試験にも参加した。

 この試験の次期フェーズ(2012年第4四半期〜2013年半ば)で、China Mobileは2万基のTD-LTE基地局を設置し、同社のネットワークを中国の13都市に拡げる計画だという。

Sequans Communicationsの「Andromeda」

 現時点で、Sequans Communicationsは、2種類のLTEプラットフォームを提供している。1つは、ホストレスUSBモデムやモバイルルータ、ホットスポットの設計用に最適化された「Mont Blanc」で、もう1つは、携帯電話機やタブレット端末の設計用に最適化された「Andromeda」である。これらのチップはSDRAMを搭載しており、10×10mmの非常に小さなパッケージでLTEの「UE Category4」(下り最大通信速度は150Mビット/秒)のスループットを実現している。

 もちろん、Sequans Communicationsのチップが、China MobileのLTE対応携帯電話機に実際に搭載されるかどうかは定かではない。

 TD-LTE市場での成功のチャンスはまだ、どの企業にも残されているのである。

【翻訳:滝本麻貴、平塚弥生、編集:EE Times Japan】

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