NHKと日本触媒が、フィルム基板上でも100日間安定して発光する有機ELを開発した。酸素や水分に強い陰極用材料を使用し、基板上に成膜する順序を変えたことで、劣化しにくくなったという。
NHKと日本触媒は2013年5月16日、フィルム基板上でも安定して発光する有機ELの開発に成功したと発表した。通常の有機ELは、100日間大気中にさらしておくと発光面積が約半分に低減するのに対し、今回開発した有機ELは、同期間さらしても劣化しなかったという。
劣化しにくい理由は主に2つある。1つ目は、有機ELの劣化の原因となる酸素や水分に強い電子注入層の材料と、陰極用の材料を開発したこと。2つ目は、フィルム基板上に成膜する際、陽極と陰極を入れ替えたことだ。
通常の有機ELは、基板の上に陽極、有機層、陰極の順で成膜されている。基板にフィルムを用いた場合、基板側と陰極側の両方から、大気中の酸素や水分が少しずつ入り込む。これが電子注入層と陰極を劣化させ、有機ELの寿命が短くなる原因となっている。
今回は、酸素や水分に強い電子注入層の材料と陰極用材料を開発するとともに、通常の有機ELとは逆の順番で、陰極から陽極までを成膜した。NHKは「iOLED(Inverted OLED:逆構造のOLED)」と呼んでいる。“逆構造”にすることで、水分や酸素の進入を最小限に抑え、長期間安定して発光することができるという。
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