欧州が半導体業界の支援に力を入れている。欧州委員会(EC)は、欧州における半導体ICの生産量を増加すべく、今後7年間で約64億米ドルを半導体関連の開発研究に投資する。
欧州委員会(EC:European Commission)は、欧州における半導体ICの生産量を倍増させ、世界生産量の約20%を占めるようにすることを目指し、マイクロ/ナノエレクトロニクスへの公共投資キャンペーンを立ち上げた。
このキャンペーンでは、今後7年間で、50億ユーロ(約64億米ドル)の公的資金を研究開発に投入する一方で、このキャンペーンを通じて支援を受ける企業も同等の資金を投じる計画だ。ただし、反助成金(anti-subsidy)の取り決めにより、資金は半導体のサプライチェーン全体に投じられることになっており、資本コストの低減や製造装置の購入などには使えない。
欧州委員会の副委員長を務めるNeelie Kroes氏は、「他の国や地域はコンピュータチップに積極的に投資している。欧州が後れを取るわけにはいかない。既存の拠点を強化して連結し、新しい強みを生み出す必要がある。そのような変革を確実なものにするためには、EUの加盟国や地域レベルでの公的投資を迅速にまとめなくてはならない」と述べている。
ヨーロッパにおけるデジタル経済とデジタルサービスの提供を担当するKroes氏は、ここ数年間、ナノエレクトロニクスはヨーロッパにおける富の創造にとって戦略の要であると主張してきた。GDP(Gross Domestic Product)の少なくとも10%をエレクトロニクス製品/サービス産業が占めているためだ。
Kroes氏は、「欧州における半導体ICの製造量が、米国を上回ることを望んでいる。資金を適切な形で投入できれば、実現できる目標だ」と述べた。今後は、ドイツ ドレスデン、オランダ アイントホーヘン、ベルギー ルーヴァン、フランス グルノーブルにある半導体拠点の拡充や、英国 ケンブリッジやイタリア ミラノといった半導体設計の中心地との連携を強化すべく、より大規模な投資に焦点を当てる戦略を実施するという。
このような戦略には、最先端のプロセス技術を適用してICを製造することや、450mmウエハーに移行することなどが含まれているとしている。
【翻訳:平塚弥生、編集:EE Times Japan】
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