ルネサス エレクトロニクスは、「TECHNO-FRONTIER 2013」(テクノフロンティア2013、2013年7月17〜19日)で、3万ステップの分解能を持つLED調光システムを展示した。細かな明るさ制御が行える上、0.001%という超低輝度でのLED点灯も可能にした。
ルネサス エレクトロニクスは「TECHNO-FRONTIER 2013」(テクノフロンティア2013、2013年7月17〜19日)で、3万ステップという細かな調光制御が行える超高分解能LED調光システムを初めて公開した。アナログ電流制御とデジタルPWM出力を組み合わせちらつきのないスムーズな高分解能LED調光を実現したという。
公開した調光システムは、PFC部とLED駆動/制御部、調光制御部と3つのブロックで構成される。このうち、超高分解能を実現するのは、LED駆動/制御部と調光制御部の2ブロックだ。
LED駆動/制御部の核となるデバイスは、LEDドライバICの「R2A20135SP」。LEDを安定した輝度で駆動するために重要な電流ばらつきを6%に抑えたICになっている。また、トライアックによるアナログ調光を用いた場合、効率85%以上、力率0.9以上、全高調波歪(THD)20%以下といった特性を実現する。
LED駆動/制御部をコントロールする調光制御部のコアデバイスは、LED調光制御マイコン「RL78/I1A」だ。RL78コアを採用し、LED制御、電源制御および通信機能を1チップで実現するこのマイコンは、32MHzのCPU動作が可能な高精度(±1%)のオンチップ・オシレータなどの周辺機能に加え、64MHzタイマ動作とディザリング機能は最小0.98ns分解能のPWM出力を誇る。この高分解能なPWM信号をR2A20135SPに与えることで、3万ステップを上回る細かな輝度の調整が可能になったとし、「従来の調光システムと比べステップ数は1桁違うだろう」(ルネサス説明員)という。
さらに最高輝度の0.001%という極めて低い輝度からの調光も実現した。これまで一般に低輝度領域での発光させる場合、ちらつきが発生するため、「最高輝度の5%程度から点灯、調光する場合が多く、0.001%でもちらつかないのは、画期的だろう」(説明員)という。デモでは、1つのRL78/I1Aで、R2A20135SPなどで構成する2つのLED駆動部(最大出力電流各600mA)を制御し、2本のLED灯(各40W)をそれぞれ駆動した。なお「1つのRL78/I1Aで、6つのLED駆動部に対し最高分解能のPWMを出力できる」という。
キーデバイスであるR2A20135SP、RL78/I1Aともに、1年以上前から発売している製品だが「2つのデバイスを組み合わせることで、高い性能の調光制御が行えると想定していた。しかし、最近になって両デバイスを組み合わせた『プラットフォームソリューション』に仕上げたところ、想定以上の性能を発揮できることが分かり、今回のTECHNO-FRONTIERで初めて公開することになった」という。
ルネサスでは、開発した調光システムを、LEDシーリングライトや、高分解能調光が要求されるビルや店舗のデザイン照明用途などに提案する方針。「調光制御用マイコン、調光対応LEDドライバICの双方を提供できる半導体メーカーは数少ない。組み合わせることで、われわれ自身も驚くような性能を引き出せる『プラットフォームソリューション提案』を強みにして、拡販を進めていく」としている。
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