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DRAM価格が堅調に上昇、2010年10月以来の高値にビジネスニュース 業界動向

DRAMメーカーの合併や、比較的価格が高いモバイルDRAMへの製造の移行といった要因から、DRAMの平均販売価格が上昇している。2013年第3四半期も、この傾向は続く見込みだ。

» 2013年07月24日 11時43分 公開
[Dylan McGrath,EE Times]

 米国の市場調査会社であるIC Insightsによると、DRAMの平均販売価格(ASP:Average Selling Price)は、2013年に入ってから毎月上昇し、現時点で2010年10月以来の高値になっているという。

 IC Insightsは、ASPが上昇している要因として、DRAMメーカーの減少と設備投資の削減を挙げている。この2つの要因によって、生産量の減少が続いているからだ。

 IC Insightsが2013年7月末に発行する予定の中間リポートによると、2013年第2四半期のDRAMのASPは、前年同期比で42%上昇したという。なお、2013年第1四半期は、前年同期比の上昇率は22%だった。

 2013年第3四半期も上昇を続け、前年同期比で50%増となる2.53米ドルに達すると予測している。一方、同年第4四半期は、若干下がって2.52米ドルになると予想している。それでも、2012年第4四半期に比べると46%上昇する見込みだ。通年では、2013年のDRAMのASPは、前年比で40%上昇すると予想される。

DRAMの四半期ごとのASP 出典:IC Insights

 DRAMの出荷数は8%減少すると予測されているが、2013年のDRAM市場自体は28%の成長が期待されるという。同市場は2012年に11%、2011年に25%縮小した。

 IC Insightsは、「DRAMメーカーの合併が進んだ結果、メーカーの数は2010年に比べると減少している。Micron Technologyは現在、エルピーダメモリの買収契約の完了を待っている状態である。また、台湾のDRAMメーカーであるPowerchip TechnologyとProMOS Technologiesは、コモディティDRAM事業から実質的に撤退した。その結果、DRAMの製造は、数少ないメーカーが厳密な生産調整の下で行う状況になっている。

 DRAMの設備投資額は、近年大きく減少している。DRAMの売上高に占める投資額の割合は、2011年は31%だったが、2012年は19%に減少した。2013年には12%に減少すると予想されている。新たな設備投資が行われないため、DRAMの需要が供給を上回り始めており、需要と供給のバランスがDRAMメーカーにとって好ましい状態になっている(関連記事:DRAM市場が堅調、需要と供給のバランスが取れた状態に)。

 IC Insightsは、DRAM価格が上昇した第3の要因として、PC市場の変化を挙げている。PC市場では、タブレット端末の普及によって、デスクトップPCやノートPCの出荷が減少している。DRAMメーカーは、成長するタブレット端末にも狙いを定めていて、低価格のコモディティDRAMの生産を縮小し、高価格のモバイルDRAMの生産を増やそうとしている。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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