スマートフォンやタブレット端末の普及によるDRAM市場の成長は続いている。メモリ容量も増加しており、2015年には、16Gビットの大容量メモリを搭載したスマートフォンが半数以上を占めるようになるという。
IHS iSuppliの新しいリポートによると、1台のスマートフォンに搭載されるDRAMの容量は2012年に50%増加するが、この成長速度はすぐに緩やかになるという。その理由として、DRAMの密度が実用設計の限界に到達することの他、2015年に10億台の出荷が見込まれる携帯電話市場に向け、メモリベンダーがより転送速度が高いDRAMの商品化に目を向けることが挙げられる。
IHS iSuppliが発行したDRAM市場の動向に関する最新リポートによると、スマートフォンに搭載されたDRAMの容量は、2010年の202Mバイト、2011年の453Mバイトからさらに拡大し、2012年には666Mバイトに達する見通しだという。
スマートフォンに搭載されたDRAMチップの平均密度も増加し続けるという。現在、4GビットのDRAMがスマートフォン市場の37%を、8GビットのDRAMが36%を占めている。2013年には8GビットのDRAMが市場の約半数(46%)を占めるようになる一方で、4GビットのDRAMのシェアは28%に減少する見込みであるという。
IHS iSuppliは、「16Gビットの大容量DRAMのスマートフォン市場におけるシェアは、現時点では2%にとどまる。だが、2013年には15%まで増加し、2013年には4GビットDRAMを、2014年には8GビットDRAMのシェアを追い抜く」と予測している。2015年には、シェアが56%にまで増加する見込みである。
IHS iSuppliのメモリ需要予測部門でアナリストを務めるClifford Leimbach氏は、「スマートフォンに搭載されるメモリ容量が増加するにつれて、メモリ業界は、さまざまな容量を提供する複雑な世界から、よりシンプルな世界へと移行している」と述べた。
スマートフォンのような用途に向けた、いわゆるモバイルDRAMに対する需要は、近年急速に増加している。理由の1つとして、メモリベンダーが、特にスマートフォン向けに、従来のメモリ構造に低消費電力機能を付加したことが挙げられるが、やはり携帯電話機市場の盛り上がりによるところも大きい。携帯電話機の出荷台数は、2015年には10億台に達すると予測されている。
【翻訳:山内幸代、編集:EE Times Japan】
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