エストニアのTallinn University of Technologyが開発したカメ型ロボット「U-CAT」は、外見こそ本物のカメとは似ても似つかないが、その動作は非常によく似ている。ほとんどの水中ロボットがプロペラを使って前進するのに対し、U-CATは4つのひれをそれぞれ個別に動かして前に進むので、操縦性に優れているという。前後と上下に進むだけでなく、360度の回転も可能だ。ビデオカメラも搭載していて、U-CATの“本業”である難破船の調査など、狭い空間での作業において威力を発揮する。
オープンソース化の動きは、水中ロボットの分野にも及んでいる。ライブビデオカメラを搭載した遠隔操作探査機もその一例だ。OpenROVが運営するコミュニティは、DIY(Do It Yourself)愛好者など一般の人々が設計プラットフォームを研究できるよう、自作用の設計キットを用意したり、最初の段階から全て自分で作れるようにファイルやビルドノートを含めた部品リストを提供したりしている。
ハードウェアもソフトウェア(コードや設計ファイル)は、いずれもオープンソースだ。現在の最新バージョンは2.5である。設計キットに同梱されているのは、小型のマザーボード「Beaglebone Black」と「Arduino MEGA」、長さ100mのケーブル、LED光アレイ、広角レンズを搭載したHDビデオ、ブラシレスDCモーター、Graupnerの高性能船用プロペラ、寸法/距離測定用レーザーエミッタ、電圧レギュレータ、HiTecのマイクロサーボなどである。
QinetiQが開発した「C-TALON」(水陸両用なので、ビーチロボットと呼ぶべきだろうか)は、探索救助や危険廃棄物処理を行う陸上ロボット「TALON」のプラットフォームをベースとして開発された。C-TALONは、水中でも作業できるので、軍用機器として港湾や河川、波打ち際といったエリアにおける諜報や監視、偵察などの任務をサポートすることができる。
河川の航法研究にも利用されるので、Draper Laboratoryが開発したナビゲーション用のソフトウェアを搭載している。さらに、通信センサーやナビゲーションセンサー、GPSやコンパス、圧力センサー、走行距離計、高解像度のイメージングソナーなども備えている。この他、暗視カメラやハイドロフォン、光ファイバーリンクなども搭載するという。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
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