これほどの規模のクロスライセンス契約は、モバイル業界では珍しい。だが、より成熟した業界では、企業間のクロスライセンス契約はよくあることだ。ソニーやパナソニック、JVCといった日本の家電メーカーは、何十年にもわたって数多くのクロスライセンス契約を結んできた。
IHS iSuppliのアナリストであるSideco氏も、「スマートフォンやモバイル機器業界では、今回のGoogleとSamsungの契約に比べて規模は小さいものの、クロスライセンス契約はかなり一般的になっている」と述べている。
Epstein氏は、「LG ElectronicsやHTCなどのモバイル企業も、クロスライセンス契約の締結を検討しているのではないか」と予想している。
Epstein氏とSideco氏の両氏は、「GoogleとSamsungがRockstar Consortiumに倣ってクロスライセンス契約を結んだと考えるのは、時期尚早なだけでなく誤った解釈だ」と指摘している。Epstein氏は、「メディアは、“Google/Samsung対Rockstar Cosortium”のように、2つの対立する陣営が戦う図式を好むが、両陣営は特に干渉し合っているわけではない」と述べている。
Apple、Microsoft、ソニーなどから成る特許団体Rockstar Consortiumは2011年、オークションでNortel Networkの特許を45億米ドルで獲得した。Rockstar Consortiumは2013年に、同団体が獲得したNortel Networkの特許を侵害しているとして、Google、Samsungと、Androidスマートフォンメーカー6社を提訴している。こうした背景から、誤った報道がなされる可能性は高いと考えられる。
Rockstar Consortiumが創設されたのは、特許係争が激しさを増していた時期だった。Epstein氏は、「スマートフォンのプラットフォーム争いは終結に近づいており、スマートフォンの主要メーカーは、“あらゆる企業にオープンな環境”を構築するべき時代になりつつあることを理解し始めている」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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