2013年第4四半期におけるPCの出荷台数は、前四半期よりも9.4%上昇したものの、PC業界が期待したほどには伸びなかった。業界はインテルのAtom SoC「Bay Trail」に望みをかけていたようだが、現時点では、PCの売り上げを大幅に引き上げる効果は期待できないという見解もある。
2013年第4四半期(10〜12月)のPC世界出荷台数は5260万台に達した。米国の市場調査会社IHSが2014年2月12日に発表したリポートによると、ホリデーシーズンの実績は予想をやや上回ったものの、売上高は業界の期待に及ばなかった。
PCの出荷台数は、2013年第3四半期から第4四半期にかけて約9.4%上昇した。過去数年間の傾向として、PC出荷台数はこの期間に堅調な伸びをみせる。ただし、業界アナリストらは、第4四半期における出荷台数を5530万台と予測していたが、実際には5260万台だった。
IHSのコンピュータ/サーバ/ストレージ部門でディレクタを務めるCraig Stice氏は、EE Timesの取材に対し、「2013年第3四半期末に市場に投入された新しいプラットフォームは、PCの売上高を堅調に伸ばすと期待されていた。だが、タブレット端末などの人気は絶大で、とても太刀打ちできなかった」と述べた。「タブレット端末の普及によって、コンシューマ向けPCの需要が下がっている。タブレット端末とPCをともに使用することで、PCの買い替えサイクルが長くなっている」(同氏)。
PC業界の望みはインテルのAtom SoC「Bay Trail」にあった。タブレット端末からPCまで幅広く対応できるBay Trailだが、PC市場が求めるほどの成長をもたらすものにはならないとみられている。
ただし、明るい兆しもある。Stice氏は、PCへの消費者需要が低いことを受けて、PCベンダーが調達を控えめにし、在庫水準を極めて低く抑えている点を挙げた。PCの売り上げが鈍化している今、PCが過剰に生産されていないのは確かだ。
IHSのリポートは、マイクロソフトの「Windows 8」にも望みを託している。人気のあるWindows XPのサポート終了が近づく中、PC業界はWindows 8への買い替え需要の拡大に期待を抱いている。一方、Appleの「iPad」などのタブレット端末市場が飽和することで、PCやその他の機器市場に余地が出てくるという見解もある。
だが、“持ち運びのしやすさ”に対する消費者の熱は、まだ冷めそうにない。米国の市場調査会社IDCが2014年2月12日に発表したスマートフォンの統計では、スマートフォンの出荷台数は2013年に10億台を超えた。そのうちの約95%は、Androidスマートフォンあるいは「iPhone」だったという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.