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過熱するタブレット向けディスプレイ市場、 ノーブランドの端末メーカーの躍進でビジネスニュース 業界動向

低価格のタブレット端末を製造するホワイトボックスメーカーが急増していることから、タブレット端末向けディスプレイの出荷量が増加しているという。2012年比で69%増加する見込みだ。

» 2013年07月10日 15時47分 公開
[Dylan McGrath,EE Times]

 米国の市場調査会社であるIHS iSuppliは、タブレット端末向けディスプレイの世界出荷数量に関する予測を上方修正した。中国のホワイトボックスメーカーからの発注が激増していることを反映させたためだとしている。

 IHS iSuppliによれば、2013年におけるタブレット端末向けディスプレイの出荷数量は、前回の予測から6%増となる2億6200万枚に達する見込みだ。同社が最近発表した液晶パネル関連の市場調査リポートによると、これは2012年比で69%増加するという。

 同社の大型ディスプレイ担当シニアマネジャーを務めるRicky Park氏は、発表資料の中で、「2013年のタブレット端末市場は、スマートフォンを手掛けていた中国のホワイトボックスメーカーが大挙して参入してきたことから、競争力学が劇的に変化した」と述べている。

 Park氏によれば、中国メーカーは、中国をはじめとする新興経済圏のユーザーにとって魅力的な、ローエンドタブレット端末を大量に生産している。このため、タブレット向けディスプレイの需要が増大した。特に、旧式のTN型液晶技術を使用した小型ディスプレイの需要が高いという。

 IHS iSuppliによると、無名ブランドのタブレット端末メーカーが調達したタブレット向けディスプレイが全体に占める割合は、2012年第1四半期には17%だったが、2013年4月時点では40%まで増大したという。

 また同社の予測では、2013年における7インチおよび8インチのタブレット端末向けディスプレイの出荷数量は、前年比で約3倍増加する見込みだという。その一方で、9インチ/10インチ/11インチの大型ディスプレイの出荷数量は、同5%減となる見込みだ。

 中国のホワイトボックスメーカーは、競合メーカーよりも低価格のタブレット端末を、迅速かつ柔軟に生産することができる。さらに、無名ブランドのタブレット端末の製造だけでなく、大手ブランドメーカーからの受託生産にも対応可能だ。

 Park氏は、「タブレット端末分野において、ホワイトボックスメーカーの存在感が高まっている。その勢力は今後さらに拡大していくだろう」と述べている。

 IHS iSuppliによると、Intelが2013年後半にタブレット端末向けのAtom SoC「Bay Trail」を投入する予定であることから、10インチ以上の大型タブレット市場は今後、回復していく見込みだという。Bay Trailは、x86プロセッサベースのタブレット端末のコストを削減できるだけでなく、電池寿命も伸ばすことが可能だ。さらに、キーボードを搭載したハイブリッド型タブレットPCの需要が高まるきっかけになると期待されている。

タブレット端末向けディスプレイの出荷量の予測値 出典:IHS iSuppli

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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