NHK技術研究所は、1億3300万画素のイメージセンサーを開発した。1枚(単板)で、フル解像度(7680×4320画素)のスーパーハイビジョン(8K)映像を撮影できるので、カメラの小型化を実現する。
NHK放送技術研究所(以下、NHK技研)の「技研公開 2014」(2014年5月29日〜6月1日)では、スーパーハイビジョン(8K)カメラの小型化と高感度に貢献する要素技術がいくつか展示される。
そのうちの1つが、1億3300万画素のイメージセンサーだ。37.6×21.2mmの撮像面に、横に1万5360画素、縦に8640画素が並んでいる。NHK技研の担当者によれば、「動画用のイメージセンサーとしては、世界最高の画素数」だという。このイメージセンサー1枚で、フル解像度(7680×4320画素、フレーム周波数は60Hz)のスーパーハイビジョン映像を撮影することが可能になる。
フル解像度のスーパーハイビジョン映像を撮影するには、RGBの各色について3300万画素の情報が必要になる。これまでは、各色に3300万画素のイメージセンサーを1枚ずつ用いていた(3300万画素単板方式)。合計3枚のイメージセンサーに加え、光を3色に分解するプリズムも必要だったので、カメラの小型化は難しかった。さらに、この方式はRGB信号の画素補完処理を行うので、“本来の色”とは異なる色が出てしまうという問題もあった。「今回開発した1億3300万画素のイメージセンサーはこれらの課題を一気に解決するので、スーパーハイビジョンカメラの小型化に大きく貢献すると考えられる」(NHK技研)。
1億3300万画素のイメージセンサーは対角を43.27mmにして、35mmフルサイズに相当する光学サイズを実現している。このため、豊富な種類がそろっている市販のスチールカメラ用レンズに対応しやすくなっている。NHK技研は、「イメージセンサーの画素数を上げても、そもそもレンズに入らなければ意味がないし、レンズの解像度にもマッチしなければならない。光を取り込む量やレンズに入るサイズなど、全ての要素のバランスを考えた結果、今回の画素数、光学サイズのイメージセンサーが仕上がった」と述べている。
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